事故予防のための子どもの死因究明に関して

本年3月に行った一般質問の報告第2弾を遅ればせながらアップする。

三重県は令和2年度国のモデル事業として子どもの死亡事例を考察し、予防策を検討する政策提言委員会が設置され、令和3年3月に最初の提言書が策定された。

平成27年から県内の小児科医の方々が自主的な勉強会を重ねてきて頂いており、結果先行事例としてモデル事業化する事になる。

この提言の目的は、子どもの死亡を予防する事にあり、県は元より国や市と連携して対策事業が実施され、子どもの命が守られて初めて意味をなす。


そこで、令和3年度の提言書を元に、政策提言委員会の提言内容に対して、県がどう対応をするのか確認をした。

提言は4つあるが、原因が複雑で対応が難しいと思われる2点を先に。原因が明確で対策が比較的容易な課題2点を後に尋ねた。



提言2は「マルトリートメント(不適切な養育)に陥りやすい家庭が、地域で安心・安全に生活するための支援の拡充」である。親や保護者が精神的や経済的な養育上の困難があり、虐待やネグレクトを含めた子どもへの不適切な行為が繰り返され、結果死亡するケースへの対策である。

提言4は「子どもが様々なライフイベントを経験しても、つまづきや生きづらさを抱え込まず生活するための支援の拡充」である。言い換えれば自殺予防対策である。

それぞれ複合的かつ個別的な複雑な状況があり、容易な解決策はない。しかし双方共に共通している事は、如何に子どもの発するSOSを早い段階で認知し、対応できるかが重要だという点である。

同政策提言委員会の協力者であるうめもとこどもクリニック院長の梅本正和先生からアドバイスを頂き、次の通り提案をした。

GIGAスクール構想により配備された一人一台パソコン(タブレット)を使い、医師監修の元年2回のアンケートを県下全小中学校で実施する事。
津市では令和3年度に公立学校で先行的にアンケートが行われてた。

メリットは
  • タブレットを使う事でアンケートの実施、結果の回収、集計が、教員に大きな負担をかける事なく非常に容易に出来る。
  • 定期的に実施する事で子どもの心理的変化を早期に把握する事が出来る。
  • タブレットなので秘匿性が高く子どもが安心して回答する事が出来る。
  • 医師が監修する事で的確な質問と、適切な分析を行う事が出来る。

答弁の概要は次の通り
津市教育委員会での成果や課題、さらには専門医との連携など必要な体制を確認して、他の市町教育委員会に取組を紹介したい。

今後の他市への広がりを継続して確認していきたいと思う。

次に多部局間の連携に関して伺った。
同提言書は、全ての4つの提案において、国、県、市、関係機関、医療、保健、福祉、教育など部局をまたいで取り組む「部局横断」型の事業実施の必要性を訴えてる。

学校現場にはスクルソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなど、子どもの相談を受ける為の人員は配備されては居るものの、決して十分ではない。

子どもの抱える問題が表に現れてから対処するのではなく、顕在化する前に対処できる様にする為、子供のメンタルヘルスに知見を持つ有識者の派遣を望むか?教育長に尋ねた。

児童・生徒の心理的、精神的な課題は、学校だけでは解決することは困難であり、医療や保健、福祉分野の専門機関の協力、支援が必要だ。

医療機関につながるまでの間、専門家による助言などがあれば、不安や悩みを抱える児童・生徒や保護者への有効な支援になる。

という答弁を得た。

次いで子ども福祉部に対し、
教育環境や家庭環境からリスク因子を除去するための施策を実行するため、子ども・福祉部として、学校に専門的知見を有した有識者を派遣するなど、財政的に教育と協力して施策を講じていくことが可能か?訪ねた。

子ども福祉部長からは
教育現場において、医療や福祉等の専門家によるさらなる助言や支援等の求めがあれば、できる限り積極的に協力をしていきたい

という答弁を得た。

児童のメンタルヘルスを定期的に確認し、変化に対し迅速に対応する事は、子どもの直面しているストレスを早期に除去し、重大事態の発生を未然に防ぐ効果がある。勿論子どもの心が安定すれば、学校でのトラブルも減り、学力向上のみならず、教員のストレス除去、メンタルヘルスの維持にも繋がるはずである。
提案したものとして、今後も定期的に学校での取り組み状況を尋ね、より多くの子供達が望ましい環境で育ち、守られていく様尽力したいと思う。




提言3は子どもの水難事故を扱っている。自民党青年局ではかねてよりライフジャケットの普及および学校での教育の必要性を訴えてきた。県議会でも現局長の石垣県議と共に複数回、学校にライフジャケットを配備し、水場に行くときには子ども自らがライフジャケットの着氷が必要だという認識が定着し、かつ手に届くところにライフジャケットが在る環境を整備する必要がある事を県当局に伝えてきた。

実際令和3年度提言には令和2年度に起こった水難事故を取り扱っており、いずれの場合も子どもが大人お目の離れた水辺での一人遊びで命を失っている。
運転時のシートベルト同様、子ども自身がライフジャケットを自らの手で着用する「意識の定着」が大切である。

小中学校は市町の管轄になる為、県が予算を付けるわけには行かない為、県教委には各市町に対して小中学校に対し、ライフジャケットが欲しいというニーズの確認を依頼した。

教育長からは
本年度5月に各市町のニーズを調査する旨、答弁を得た。

なお本年9月に、石垣青年局長を中心に我々青年局は、ライフジャケットの普及に尽力頂いており、我々自民党青年局でも講師として講演頂いた森重さんの出版したライフジャケット普及啓発のための絵本を県教委に贈呈した。その際森重さんにオンラインで繋って頂き、木下教育長にライフジャケットの必要性を改めて訴えた。

その際、香川県が国のモデル事業に参加し、ライフジャケット推進事業を実施している事が伝えられた。香川県教委と連絡を取り先行事例から学び、三重でも前向きに取り組みたい旨を教育長から伺った。
この問題も継続して県の取り組み状況を注視していきたいと考えている。




最後に提言1「子どもが安全な睡眠環境のもとで生活するための支援の拡充」。
これは添い寝している親の寝返りによって子どもを窒息死させるケースの予防である。提言では周知啓発と共に、直接的な解決法の一つであるベッドインベッドを新生児家庭に対して配布する事を、梅本先生は訴えている。ベッドインベッドに関して、令和3年3月の提言書には言及されていないが令和4年度3月の提言には盛り込まれる旨、梅本先生からも伺っていた。外国では実施事例があるという。

子ども福祉部長からは
CDRの提言を踏まえた上で、ベッドインベッドも一つの方法として効果的な支援を検討するという答弁を得た。


ライフジャケット普及による水難事故の防止及びベッドインベッド配布による添い寝による窒息死の予防は、冒頭に述べた様に比較的対策が明確で容易である。
障壁は予算のみ。
しかしライフジャケットは1着高くて5000円。700人程度の比較的大きな小学校を基準にすると1学年120人ぐらい。60万ほどで1校分整備できる計算になる。子どもの安全を意識してくれる地域企業さんからの協賛を募るなど、工夫をすれば少しづつでも前に進められるのではないか。

また、ベッドインベッドも構造上単純なもので安価なものは5000円程度で販売している。
三重県の出生数1万1690人。市町と折半して2500円、単純に掛け算すると2922万、おおむね47%が第1子だとすると1373万円、出生届と連動してスケールメリットを出せば、年間1000万ほどで乳児の不慮の事故を防ぐことができ、過ちによって自分の子どもを殺してしまったという耐え難い苦痛を経験する親を減らすことができると思う。

梅本先生から教えて頂いたフィンランドで実施している赤ちゃんボックス事業。80年以上の歴史があるという。服などが入った段ボールの箱がベッドインベッドとして機能する。

大切な子どもの命が絶たれる事態を少しでも防ぎたいという小児科医の方々の思いがつまった提言書に、毎年毎年同じ提言が書かれ、何も変わらない状況にならない様、今後の県の対応を注目していきたい。



動画


議事録


子どもの死亡の原因究明と改善策についてお伺いしたいと思います。
 国のこども家庭庁の創設に向けた勉強会が小児科医でもある自見英子参議を座長に、30回以上開催されています。
 現在、設置に向けた最後の調査が行われていますが、新法及び新庁が設置される前に、先行して既に取り組まれているのが、CDR、チャイルド・デス・レビュー、子どもの死因究明だということを学びました。
 また、三重県が先進的に取り組んでいることも知りました。平成27年から、県内の小児科医さんたちが、子どもの死亡事例を減らすため、死亡原因と予防策を検討する自主的な勉強会を既に立ち上げていただいていたからです。
 現在、医師だけでなく、保健、福祉、行政機関などが連携し、警察などからの情報提供を得て、令和2年度から国のモデル事業として政策提言委員会が設置され、令和3年3月に最初の提言書が策定されました。
 小児科医さんの勉強会の目的も、国が目指すものも、そして県のCDRのモデル事業の役割も、予防可能な子どもの死亡を減らすことに尽きると思います。しかし、同委員会は、政策の提言を行うことしかできません。この提言を根拠に施策が実施されて初めて、取組として帰結すると思います。
 みえ元気プラン92ページにある施策14-4、結婚・妊娠・出産の支援には、予防可能な子どもの死亡を減らすため、小児死亡に係る情報などを収集し、多機関が連携して子どもの死亡事例の検証を行い、効果的な予防策を検討しますと書かれています。
 これなんですが、(パネルを示す)こども家庭庁創設に向けた議論の中で、子どもにまつわる課題を解決するために必要なこととして必ず挙げられる図が、これです。
 部局間の縦割り構造、国、県、基礎自治体間の横割り構造、就学前、就学後といった年代によって厚生労働管轄から教育管轄に変わる年代割り構造、これを改善する必要があり、多部局連携、国、県、基礎自治体の一体的対応が必要だという認識です。
 昨年提出された第1回提言を受けて、県が、庁内の部局や基礎自治体と連携し、子どもの死亡事例を減らすため、どのような対策を講じるのか、今回の質問で確認をしたいと思っています。
 提言、全部で四つです。2と4、2は児童虐待、児童虐待死に対して、提言4は自殺に対してであり、いずれも様々な要因が重なることで発生し、単純な解決策はありません。
 しかし、子どもたちの個々の特性をしっかり把握し、定期的に心理状況を確認することで、子どもたちが抱える課題に対して早い段階で対策を打つことができるようになり、最悪の事態を予防し得るのではないかと考えています。
 虐待やいじめといった明らかな事例、事象に限らず、離婚、貧困、提言2に出てくるマルトリートメントと言われる子どもにとってストレスの高い成育環境、また、成績や学業問題、あるいはスポーツの結果などの挫折、学友との人間関係での挫折などによって子どもの心、メンタルヘルスが崩れる要因になります。
 こういった逆境的小児体験が積み重なることで、子どもの心身が侵されていきます。そして環境が改善されることがなければ、メンタルヘルスが一層悪化し、不登校やひきこもり、それだけにとどまらず、希死念慮を抱く状況に至る可能性もあります。
 CDRは、子どもの死因を究明し、予防の可能性を探るために行われていますが、青年期に抱いた希死念慮が壮年期に自殺として遂行されることも多く、逆に、困ったときに助けの手を延べられたという青年期の経験が、自殺を思いとどまらせることにもつながるというので、青年への窓口を広げるアプローチは大切だと、三重県医師会学校メンタルヘルス分科会の梅本先生は述べられています。
 また、梅本先生は、次に挙げる三つの点を言及しておられます。GIGAスクールの実現によりICT機器が児童に支給され、令和3年度からムードルというアプリを使い、津市内の公立学校と附属学校で心のアンケート調査が始まっています。
 コロナによる生徒の心の影響は、特に女子に出ており、全国の自殺者統計で、令和2年度の女性の自殺が増加している。タブレットによるセキュリティーの高い聞き方は、生徒たちが本音を言いやすい。
 そこで質問に移ります。
 まず、子どもの希死念慮の早期察知という点から、また、子どものメンタルヘルスを保つため、子どもが感じているストレスとその原因を的確に把握することで、環境改善の対策を早期に講じることができるという二つの点から、医師の監修によって質問事項を作成し、教員が回収、集計する手間を省くことができるタブレット端末を使ったアンケート、津市で先行的に行った事例を県下の小・中学校全校において、年に2回、5月と11月に実施することは有効だと考えるが、教育長の見解をお伺いします。
   〔木平芳定教育長登壇〕
○教育長(木平芳定) 子どものメンタル不調の把握の先進的な取組をしている市町の県内での展開についての御答弁を申し上げます。
 まず、学校での子どものメンタル不調の把握ですけれども、学校では、担任や養護教諭を中心に、日頃の健康観察や声かけにより、心や体の状態を把握し、対応しております。
 それから、専門家のカウンセリングなどが必要な場合は、スクールカウンセラーが面談しますが、学校の実情に十分応え切れていないことから、配置時間を令和3年度は前年度より20.5%、令和4年度はさらに6.7%増やすこととしております。
 また、多くの市町では、学校生活での満足度や意欲、それから学級の状況等を児童・生徒へのアンケートで把握するなどしております。そして、トラブルやいじめなどへの不安がなく過ごせているか、クラスで受け入れられ、考え方や感情が大切にされていると感じられるかなど、児童・生徒の実態や学級の状態を分析し、心配な場合は早期に対応するとともに、他者の気持ちを考える視点や社会性の育成につなげているところです。
 御提案のありました津市の学校では、先ほど御説明いたしました満足感や意欲、それから学級の状態等を把握するアンケートに加え、自尊感情のアンケートと、御紹介ありました児童精神科医の方が作成されました健康症状チェック表の三つを併せて活用しております。
 このうち健康症状チェック表には、不安な気持ちや抑鬱の状態など機微な内容の設問もあり、メンタルヘルスの専門医が教員への研修やサポートを行っているとのことです。
 アンケート後は、専門医が児童・生徒一人ひとりについてきめ細かく分析し、教員へアドバイスするとともに、必要に応じて児童・生徒や保護者と面談するなどの対応がなされています。
 メンタル不調を早期に把握し対応することは非常に大切であり、現在実施している津市教育委員会での成果や課題、さらには専門医との連携など必要な体制を確認して、そうしたこととも併せて、他の市町教育委員会に取組を紹介したいと思っております。
 それから、県教育委員会では来年度、一つの中学校区をモデルに、スクリーニングの手法を用いまして、児童・生徒一人ひとりの遅刻や身だしなみ、言葉遣い、友人関係など、学校での様子と家庭状況などを統一した基準で整理し、ケース会議で潜在的に支援が必要な児童・生徒や家庭を把握し、組織的に支援する取組を新たに行います。
 今後も、子どもたちのサインを早期に受け止め、適切な支援が行えるよう、市町教育委員会と連携して取り組んでまいります。
   〔6番 小林貴虎議員登壇〕
○6番(小林貴虎) ありがとうございます。
 次の質問に移らずとも比較的好意的な回答いただいたと思っておりますが、一応予定がありますので、次の質問も加えて質問させていただきたいと思います。
 例えば逆境的小児体験によってトラウマを抱えている場合、問題行動であったり、情緒の不安定といった形で表れます。ほかの人には取るに足らない出来事が、トラウマ記憶をフラッシュバックさせることがあります。
 その結果、周りの人の目には、当事者が突然、発作のように暴力的になったり、攻撃的になったように映ります。このような行為が理解されないまま続けば、周りの子どもたちとの関係を悪化し、当事者は阻害され、孤立化していきます。
 ここで安易にカウンセリングを行うと、またトラウマ記憶を思い出させる可能性があり、状況を悪化させることになります。丁寧にトラウマの原因を探し当て、これを除去する必要があります。これはインフォームドケアに慣れた児童精神科医の診断が不可欠だということです。
 当事者の子どもの置かれている環境の改善のため、福祉的手段も併せて講じる必要があります。これは提言2に書かれている不適切な養育に陥りやすい家庭が、地域で安心・安全に生活するための支援の拡充の提案の内容そのものです。先ほど教育長からお話しいただいた津市の事例も、そこに当たるのではないかと思います。
 あるいは発達障がいや軽度の知的障がいが原因で、学校での対人関係に課題を抱えるケースがあります。おおむね小学校高学年ぐらいに課題が表面化し、疎外され、孤立感を感じるようになります。場合によってはいじめに発展することもあり、これも子どものメンタルヘルスを二次的に侵害する要因になります。
 対人関係に問題があり疎外感を感じ、学校から遠のいてしまっている場合、本人にとっては安全地帯に退避しているわけで、助けが必要だと考えていません。ニーズがないため、主体的にスクールカウンセラーに相談することは少なく、保護者だけが困っている状況です。
 助けを求めていない当事者にリーチすることは容易ではありません。ひきこもりの25%が不登校を経験しているという調査結果もあり、不登校を防ぐことが、県が取組を進めているひきこもりを未然に防ぐことにもつながります。
 現在、先ほどもお話がありましたが、スクールカウンセラーの数は決して足りているとは言えないことは、周知の事実です。
 そして、そこでまず、教育長にお尋ねします。
 対応すべき児童がいた場合、課題が顕在化する前に判断し、適切な関係を先に整えていただくことが有効だと考えます。児童のメンタルヘルスを保つことは、クラスのメンタルヘルスを保つことにもつながり、当然、教員のメンタルヘルスも保ち、学力の引上げにもつながります。子どものメンタルヘルスを保つことを目的に、専門的知見を教育現場に反映するため、先ほどお話ししていただいた津市のように、有識者を学校に派遣することは有益だと考えるが、学校側として受け入れる意向があるかお尋ねをいたします。
   〔木平芳定教育長登壇〕
○教育長(木平芳定) 学校への、例えば児童精神科の専門家の派遣などについての考え方について、御答弁申し上げます。
 児童・生徒の心理的、精神的な課題は、学校だけでは解決することは困難であり、医療や保健、福祉分野の専門機関の協力、支援が必要です。
 県教育委員会では、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を有する方をスクールソーシャルワーカーとして任用し、対象児童・生徒の気になる状況や家庭環境などを踏まえ、アセスメントを行い、支援計画を立て、場合によっては医療や福祉などの支援につなげています。
 こうした中で、医療機関につながるまでの間、専門家による助言などがあれば、不安や悩みを抱える児童・生徒や保護者への有効な支援になると考えているところです。
   〔6番 小林貴虎議員登壇〕
○6番(小林貴虎) ありがとうございます。
 それでは、子どものメンタルヘルスを保つ施策に関して、先ほどの梅本先生から四つの点を伺いました。
 不登校、ひきこもり、成人の健康被害、自殺、さらには巻き込み型の自殺と言われる大量殺人のような課題を未然に防ぐことにつながることにとても重要だと。
 予防は早ければ早いほど医療経済的に有利であることは、児童精神科の分野では分かっていると。教育委員会だけではなく、子ども・福祉部、医療保健部と連携を図り、幼保、こども園、小中高、特殊と一貫して対応していくことが大切であると。
 成育基本法の制定の後、国では、子ども基本法の制定に向けて議論が出ているが、三重県が率先して安心して教育を受けられるという子どもの権利推進県というモデルになるよう期待しているというお話を伺いました。
 それでは、質問します。
 子ども・福祉部として、先ほど教育のほうでは好意的に受け止めるという答弁をいただきましたけれども、課題を抱える可能性がある子どもたちを課題が発生する前から察知し、子どものメンタルヘルスを健康に保ち、教育環境や家庭環境からリスク因子を除去するための施策を実行するため、子ども・福祉部として、学校に専門的知見を有した有識者を派遣するなど、財政的に教育と協力して施策を講じていくことが可能かお伺いします。
   〔中山恵里子子ども・福祉部長登壇〕
○子ども・福祉部長(中山恵里子) それでは、子どもの精神保健分野等におけます専門家の学校への派遣ということで御質問いただきましたので、お答えをさせていただきます。
 ストレスなどを抱えて心身に影響を受けるおそれのある子どもへの対応につきましては、福祉、保健、教育、医療など多様な分野が専門性を発揮して、そうした子どもを早期に発見して、早期に支援を行うということが重要であると、これは先ほど議員御紹介いただきましたけれども、令和2年度のCDR事業の提言の中にも指摘をされているところでございます。
 子ども・福祉部といたしましても、専門性を生かして学校現場と連携して、子どもたちを支援する役割があるというふうに考えております。
 議員おっしゃっていただきましたように、子ども・福祉部には、子ども心身発達医療センターにおける児童精神科医や精神保健福祉士、また、児童相談所における児童福祉司や児童心理士といったように、養育環境に課題を抱える子どもへの対応に対して知識や経験を持つ職員など、高い専門性を備えた人材を有しているというところでございます。
 現状で、発達障がいや児童虐待に関する支援ニーズが高まっております中、こうした専門職はそれぞれの機関で対応の中心となっているということもございまして、直ちに学校現場へ派遣するということには困難なところもあるかと考えてはおりますけれども、これまでも、発達障がい支援を専門に行うアドバイザーの養成研修に教員枠を確保させていただきましたり、あるいは、課題を抱える子どもへの対応を学校等で議論する個別ケース会議への児童相談所職員の参加ですとか、学校現場での子どもへの対応につきましては連携を進めてきたところでございます。
 今後も引き続き、こうした取組を進めながら、教育現場において、医療や福祉等の専門家によるさらなる助言や支援等の求めがあれば、できる限り積極的に協力をしていきたいと考えております。
   〔6番 小林貴虎議員登壇〕
○6番(小林貴虎) ありがとうございます。
 政策提言も出たことですし、先ほど教育長のほうからも、支援はありがたいということでしたので、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
 子どものメンタルヘルスを低下させる要因の一つに、寝不足があります。睡眠時間をしっかり確保することはとても大事であること、日本の子どもたちは、ほかの国の子どもたちよりも睡眠時間が少ないことは、既に把握済みです。また、日本の成人も睡眠時間がとても少ないことも既知の事実です。
 子どもの睡眠時間を奪っている大きな原因の一つが、スマホやゲームから発せられているブルーライトであって、睡眠の質を低下させていることも分かっています。
 昨年の学力・学習調査の結果、三重県の子どもたちは他県に比べてゲームの時間が長いことも分かりました。また、国語の表現力など特定の分野の正答率が低いことも把握されており、報告書の冒頭にも書かれています。
 小児科医学会でも、このゲームと国語の正答率に関連があることを指摘して、懸念を示しています。
 まず、子どものゲームやスマホの使用に関して保護者への啓発がどのように行われているか、子どもの睡眠時間の確保の重要性をどのように伝えているか、また、教員を含めた大人がそもそも睡眠を軽視している傾向があり、教員及び職員に対して睡眠の確保のため、どのような啓発を行っているかお伺いします。よろしくお願いします。
   〔木平芳定教育長登壇〕
○教育長(木平芳定) 子どものゲームやスマートフォンへの依存、それに伴う睡眠不足への対応、さらには、教員に対する睡眠の重要性についての啓発について、お答えいたします。
 まず、睡眠についての学習や啓発です。
 児童・生徒は、小学校の保健、中学校の保健体育の授業で、睡眠が不足すると抵抗力が低下して病気にかかりやすくなったり、心の健康を損なったりすることや、睡眠の効果として、骨や筋肉などの発育や心身の疲労の回復、免疫力が高まることなど睡眠の重要性について学習をしております。
 また、学校では、県教育委員会が作成いたしました生活習慣・読書習慣チェックシートや、学校独自の保護者向けのアンケートを活用し、早寝早起きや食習慣など、児童・生徒の家庭における生活習慣の確立に取り組んでいます。
 ゲームやスマートフォンへの依存に関しましては、市町で、端末を持つ際の統一したルールを作成して家庭に呼びかけたり、ネット依存の専門家の講演会を学校で開催するなど、そうした様々な取組が行われております。
 県教育委員会でも、児童・生徒がゲームやスマートフォンの計画的な使用などを話し合い、考えることで情報モラルを身につけ、インターネットの適切な利用ができるよう、児童・生徒用教材と教員用指導書を現在作成しており、来年度から活用をいたします。
 教職員に対しましては、毎年度実施しております健康診断結果の通知に合わせて、全教職員に配付する健康や福利厚生などを伝える広報誌において、適切な睡眠時間を取ることの重要性や睡眠の取り方などを啓発しています。
 今後も、児童・生徒の健全な成長と教職員が心身ともに健康な状態で仕事に臨むことができますよう、睡眠の重要性について広報誌における特集記事の掲載など、啓発の充実に努めてまいります。
   〔6番 小林貴虎議員登壇〕
○6番(小林貴虎) ありがとうございます。
 残りの提言二つなんですが、比較的、これは対策が簡単なものだというふうに思っています。
 提言3では、子どもが川で安全な環境の下で水遊びをするための支援の強化として、具体的に指摘があります。うち四つは、教育現場での対応を求めています。
 先般、総括的質疑で、石垣議員がライフジャケットの使用に関してお伺いをしていますが、ちょっとはしょりますけれども、答弁を聞く限りは、基本的には、防災面に関してライフジャケットを保有しているところが、津波や河川氾濫の懸念がある学校であって、そこで防災訓練としてやっていると。すなわち、ライフジャケットを着て水難事故を防ぐための教育を怠っているとは、とてもちょっと思えるような答弁ではありませんでした。
 今回、CDRで出てきている水難事故は、小学生の1人遊びです。その場で防ぐことは、子ども本人がライフジャケットが必要だという刷り込みをされていない限り、防ぐことはできないと思います。
 飲んだら乗るなという標語、我々、何回耳にしたと思いますか。繰り返し聞くことで初めて意識づけができると思います。なので、毎年夏になったら1回はライジャケを着て水に入るという教育が必要だと考えます。
 そこで、全県一律では難しいかもしれないですけれども、手挙げ方式でやりたいところを募るということも一つ、手ではないかと思いますので、今後、希望を調査していただけないかと思いますが、よろしくお願いします。
   〔木平芳定教育長登壇〕
○教育長(木平芳定) ライフジャケットの活用に関して御答弁申し上げます。
 まず、小学校の水泳の授業では、クロールと平泳ぎに加えて、安全確保につながる運動が学習指導要領に新たに示されましたことから、服を着たまま水に落ちた場合の対処の仕方についても取り扱っております。
 ライフジャケットの有用性と着用方法を知ることは、水辺の危険を予測、回避し、事故から身を守ることにつながります。
 県教育委員会では、毎年5月に、市町教育委員会に水泳などの事故防止を通知しており、昨年5月には、ライフジャケット着用の仕方を学べる海上保安庁や民間団体のホームページも紹介をいたしました。
 次の本年5月の通知の際には、これらに加え、昨年10月に調査いたしましたライフジャケットを保有し、水辺で活動するときや学校での訓練で使用している市町の事例を紹介するとともに、ライフジャケット活用の市町の考え方も確認したいと考えます。
 子どもたちが安全・安心を確保しながら水辺に親しむことができるよう、引き続き、市町教育委員会と連携して取り組んでまいります。
   〔6番 小林貴虎議員登壇〕
○6番(小林貴虎) 提言1番目に移ります。寝返りによって親が子どもを窒息死させるという事例が報告されており、これに関する提言です。
 不慮の事故で、ゼロ歳児ですが、8割が窒息死であって、そのうち就寝時の窒息が32%ということが、提言書に書かれています。
 2年度の提言書では、周知徹底や啓発といったことまでしか言及されていませんが、どうも本年度に関しては、ベッドインベッドの寄贈ということを書かれるようだというふうに聞いています。
 ベッド・イン・ベッド、ベッドの中にもう一つ小さなベッドを入れて、そこの中に子どもを寝かせるということですが、安価なもの、5000円ぐらいで売っています。直接、それを送りつけることこそが、何よりも具体的な効果、啓発の効果だというふうに先生方はおっしゃられています。
 三重県の出生数1万1690人、5000円のベッドインベッド、基礎自治体と折半して2500円、単純に掛け算すると2922万、おおむね47%が第1子だとすると1373万円、出生届と連動してスケールメリットを出せば、年間1000万ほどで乳児の不慮の事故を防ぐことができ、過ちによって自分の子どもを殺してしまったという耐え難い苦痛を経験する親を減らすことができると思います。決して高くないと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
   〔中山恵里子子ども・福祉部長登壇〕
○子ども・福祉部長(中山恵里子) ベッドインベッドの公費による提供について検討してはどうかという御質問でございました。
 昨年度のCDR事業におきましても、睡眠中における乳幼児の突然死のリスクを減らすためには、添い寝をしないことが効果があるというような報告をいただいているところでございます。
 このことから、生まれて間もない乳児向けのベッドインベッドの活用は、子どもの突然死リスクの低減には効果があるものと考えておりますが、今後、市町の母子保健担当者を通じまして、乳児がいる家庭への周知を進め、この使い方ですとか使用効果について十分理解をしていただいた上で、ベッドインベッドの活用も一つの方法といたしまして、より長く利用できるベビーベッドなどの方法や負担の在り方も含めまして、子どもの安全な睡眠環境を確保するための効果的な支援策を検討してまいります。
   〔6番 小林貴虎議員登壇〕
○6番(小林貴虎) いずれの四つの提言も結果が求められていると思いますので、ぜひよろしくお願いします。

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