[書評]戦争プロパガンダ10の法則 アンヌ・モレリ著

 

ウクライナ戦争が始まって間もなく、たしか産経新聞の書評にあったので購入した。
この本は1928年にアーサー・ボンソビーがロンドンで出版した「戦時の嘘」という本を元に、ベルギーの歴史批評学者アンヌ・モレリ教授が2001年に出版した本である。

アーサー・ボンソビー氏は主に第一次大戦を考察し、戦争プロパガンダを10項目の法則に分類した。

アンヌ・モレリ教授は1995年に起こったボスニア・ヘルツェゴビナ戦争を主に念頭に置き、第一次大戦時に行われ、ボンソビー氏が分析した戦争プロパガンダが今もなお同様に運用されているとこの書で記す。

そして2022年ウクライナ戦争最中。現在もまた双方からプロパガンダ合戦がSNSを通じて盛んに行われている事を確認した。

この本は戦争プロパガンダの嘘を見抜いて真実を探り当てる方法、等と言った類いは記していない。

単にどのような類いの嘘が戦争中流布されるか、といった事を示すだけだ。その多くは我々も既に目の当たりにしている事であったり、容易に想像がつくもので、特に目新しいことは無い。

ただ、現在進行形のプロパガンダ合戦を目の前にして、10の法則に分類することで、流れてくる情報を冷静に見る一助になると思う。

この本はいずれの陣営もそれぞれに都合の良い内容だけを切り取って報じたり、都合の悪いことを隠蔽し、相手方を極悪だと罵る。と書いている。

いずれの側にも付かない中立的な立場で有るべきだと書いているように読み取れる。巻末には懐疑的である事が判断を遅らせ被害を拡大させるという批判があるが、盲目的な信頼よりはマシだと主張している。

この点に関しては私は必ずしも同意しない。

勿論盲目的に戦争プロパガンダを鵜呑みにし、一方を善人だと思い込み、他方を極悪だとあっさり欺されるのも愚かだ。自分が極悪だと信じる敵を擁護するものが現れたら、極悪人を擁護する極悪人の仲間だと罵る人達もSNS上で日々散見される。実に愚かしい。

ウクライナを擁護するのか、ロシアを擁護するのか、そこにあまり興味は無い。

私は懐疑的に、冷静に、流れてくる情報を咀嚼しながら、我が国が今後直面する問題がどのようなものか、どのような準備が必要なのか、(加えるなら身内の居る家内の国まで禍が広がらないかどうか)そこを考察することが最重要課題だと考え、日々戦争及び国際社会の動向を注視している。

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