[書評]白洲次郎 占領を背負った男 北康利 著

 13年前に書かれた北康利さんの白洲次郎の伝記を読んだ。自民党のまなびと夜間塾というオンライン勉強会で北さんの講義を受けたのが切っ掛けだ。

私は当然戦争を知らない世代だ。加えていうなら被占領期の経験もなく、独立を勝ち取った経験もない。

自由と独立が空気のように当たり前のように、既に存在した中で生まれ、そして育った。

白洲次郎という存在を、GHQと戦った男という程度にしか知らなかった。

この本を読み、被占領下の屈辱を感じる事が出来た。何物をも自由に決定できない苦しみ。信頼する友人がGHQの標的にされ、理不尽に処刑される悲哀。積み上げてきた努力が賽の河原の積み石のように無残に崩され水泡に帰す絶望感。ももがき、苦渋の妥協をし、ギリギリのところで戦い、再度独立を勝ち取るまでの攻防を垣間見る事が出来た。

何のためにボロボロになってまで必死に戦ったのか?愛する我が国を守る為に他ならない。意地もあったのかも知れない。

あの時受けた傷の多くは、今でも治癒されることなく、長く我が国と国民を傷つけ、そしてその幾つかはもう治療不可能なのかも知れない。

しかし白洲次郎の吐露した「ちくしょう!今に見ていろ」という言葉が心に残る。我々はまた次の世代へこの国を継承していかねばならない。いくらかでも傷を癒し、すこしでも良い形にして。

白洲次郎 占領を背負った男(上)

白洲次郎 占領を背負った男(下)



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