児童相談所のAIシステムAiCAN について

児童虐待の対応件数が年々増加しています。

全てのこどもが、愛され、守られ、安心して成長できる環境の下育てられるべきだと思いますが、残念ながら行政が介入せざるを得ない状況に置かれたこどもが存在するのが現実です。

三重県の児童相談所は昨年、AIによって過去の事例を解析するシステムAiCANを導入し、成果を上げています。

まず、

Q1. その効果を伺いました。

対応現場に居ながら上司と相談し、的確な判断を迅速に行う事が出来たり、事例報告の入力などの事務手続きが簡素化され、本来行うべき現場対応により多くの時間を割くことが出来る様になったり、また、AIの解析結果も経験の少ない職員の助けになっているという報告がありました。

そこで、

Q2. このシステムを更に一歩進め、学校や幼稚園、保育所などでこどもの現場に携わっている市町とも情報共有の枠を広げて、県と県下29市町一体となってこどもの生育環境の改善に取り組むべきではないかという提案をさせて頂きました。

国は、行方不明児童や転居児童の情報共有を全国的に行うデーターベースの構築を進めているそうです。また、三重県も検討委員会に参加し、三重のAIで蓄積したデータや成果、ノウハウが全国統一のシステムに活用されるよう働きかけをしているとのこと。

今後、三重の取り組みが全国に広がり、失われるべきではないこどもの命を守る取り組みが充実していくことを期待しています。



以下文字興し。

現場に向かいこどもの状況を入力する事により、過去の類似事例をデータベースから検索し、現場に居ながらこれを閲覧することが可能になり、また累積した事例の中から一定の特徴を基準に「重篤度」「再発確率」「対応日数」を評価し、総合的なリスクの確率を示すことが出来るものだと確認しています。

最終的に対応している職員は、いかにしてにしてこどもの安全を確保するか、場合によっては「一時保護」も含めた重要な判断をするにあたって、類似ケースとの比較や解析結果は一定の確信をもって判断を下す助けになると思われます。
また、入力した内容や画像を現場に居ながらにして児相にいる上司と容易に共有することが可能になり、相談することが出来ようになったと伺っています。
結果、その判断が正しいのか、もしかしたら誤った判断をしたんじゃないかと言う、心理的負担を軽減する効果があるだろうと思われます。
判断の精度をあげ、素早い対応をする事が結果としてこどもの命を守る事に繋がると考えています。

Q1. 「Ai CAN」導入による効果を伺いたい。

答弁

こども福祉部長
児童相談所におけるAIシステム導入の効果について。県では平成24年に発生したこどもの虐待死亡事案を受け、児童の安全を最優先に考える一時保護を躊躇しないなどのポリシーを改めて確認し、児童虐待による重篤な事例を発生させないことを目的にこどもの傷やあざの場所など緊急出動や一時保護を検討するべき項目をチェックリスト化した独自のリスクアセスメントツールを開発し、運用してきた。
AiCANはこの取り組みで蓄積したリスクなどのデータをAIで解析し、職員の知識や経験にかかわらず適切な判断を行う為の支援のツールとして構築したシステムで、令和2年7月から県内全ての児童相談所で運用している。
本格導入から1年ほどの現時点の効果は、対応の迅速化、効率化がある。現場の職員が児相にいる所長などにデータを送信し情報共有を行う事で速やかな意思決定による早期の対応が可能になった。記録の入力をリアルタイムで行う事が出来る事になったことで、初期対応にかかる時間が大幅に短縮され、その分より処遇が難しい他の案件により丁寧に係わることが可能になった。
次に判断やケースワークの質の向上の視点の効果として、こどもの安全に関するシュミレーション機能の付いたリスク評価によって対応の優先順位付けが的確に出来るようになり、さらに過去の知見に基づきこどもの年齢に応じた質問の目安が示されるなど、子供に合わせた工夫が出来る事で対応の幅も広がった。経験の浅い職員がこういった機能を活用してこどものリスクに繋がる事項を事前に把握し面接に備えるといったように、自ら学習する姿勢も見られ人材の育成につながっている。
今後も多くのデータの蓄積やAIを活用したケースワークの内容の検証フィードバックを継続することでAIシステムの精度の向上を図ると共に、より的確な判断が出来る人材の育成に取り組んでいく。


AIによる解析だけでなく、ICT機器の活用によって、精度が上がり、職員の作業量が軽減され、心理的負担も軽減された。これは現在現場で活用され、かつ成果を上げているDXの好事例だと考えてます。

県児相は最先端のDXを実現しました。
しかし児相と普段から連携を取っている基礎自治体の現実は必ずしもそうではないようです。
例えば学校の担任、ないしは養護教諭が虐待の可能性がある状況を確認したとします。
養護教諭は児童虐待が現在増加している事から多くの研修を受けているはずで、虐待があるか否かを判断する能力は高まってきていると思われるます。が、一方で過去のケースを検索するデータベースもAIの解析も現在存在しません。
次に養護教諭が虐待の可能性があると判断した場合、学校の管理職に相談し、校長や教頭が相談の必要があると考えれば、市に相談し、その上で必要であれば「一時保護も念頭において児相に相談するか、或いは児相に相談せず現場で対応し改善を図るのかという判断をすると伺いました、
ここでもその判断のプロセスに於いて、過去の類似事例を検索したり、解析したりという工程はなく全くアナログなままです。

現在個別でアセスメントシートのようなものを作成し判断の一助にしている基礎自治体もあるようであるが、これは他の自治体と共有されているものではありません。
それぞれの自治体で発生した事例を記録するデータベースはあるようですが、これは県児相と共有されている訳ではありません。自治体間の事例共有がなされているわけでもないという事です。県及び県下各基礎自治体が、それぞれ独立したデータベースを運用しているという事です。

デジタルトランスフォーメーションによる、利便性や業務精度の向上、簡素化、迅速化、といった結果を実現する為に「広く情報が共有出来る様にすること」はDXを進める上での大前提、基礎にあたる部分だと考えています。
だから国のDXは、先に挙げたデジタル障がい者IDの様に国が全国共通のフォーマットを定め、各自治体に一定の強制力を持って標準化を指示する必要があり、これにより、自治体間のデータの共有、即ち横串、そして国、県、基礎自治体、といった縦の軸でのデータの共有、即ち縦串を通す事が可能になり、そこにこそDXの根本的意味があるわけです。

しかるに、三重の児相におけるDXは県の組織の中では成果を上げているものの、こどもの現場に日々直面し、児相と連携を取っている基礎自治体のと間でのDX、デジタルトランスフォーメーションまでには至っていない、即ち縦串が通せていないというのが現状です。

県のAIはスタート時に6000件の事例蓄積があり、さらに毎年1000件ほどの新たなデータが追加されています。解析のためのデータ量は多い方が精度が上がります。これらデータを基礎自治体と共有することが出来れば、市町の判断の精度も上がるでしょう。

仮に津市だけが手を上げてAIの開発会社と契約を結び、データの蓄積を行い独立した新たなAI解析アプリを作ったとしても、県とのデータの連携もなく、他の自治体との共有もないでしょう。これではDXとは言いがたい。

県が、こどもの命を守ることはもとより、本来こどもが享受すべき、愛され、安心して育つことが出来る環境を今以上に整えていくためにも、
県と県下29基礎自治体と、データ共有による今以上の密接な連携を構築し、県と基礎自治体が一体となって虐待の防止、早期発見、早期対応をしていく事が、県児相がスタートしたDXを次の段階に進めるのではないかと考えます。

自民党青年局に所属する各市町の議員に尋ねましたが、勿論議会での質問を行い執行部にAI導入の必要性を訴えはするが、やはりこう言ったことは県から市町にしっかりと要請を出して欲しい、というのが切実な声でした。

基礎自治体の現場の判断と対応の精度が上がれば、状況が重篤化することを防ぎ、県の児相が対応しなければならなくなる前に解決できるケースも増えるでしょう。

また、基礎自治体の児相への相談の必要性を判断する精度が向上すれば、何でもかんでも児相に相談という事態を無くし、県児相としても本来対応すべき重篤なケースに人員も時間も注力する事が出来るでしょう。

対応事例が増加し、一時保護所の物理的空間にも限界が来ており、施設の増設や拡充の必要性が出てきているとも伺っています。

Q2. 県児相のすすめてきたDXの次のステップとして、県下29市町との共通フォーマットによる情報共有による連携、蓄積された事例の解析による対応と状況改善の制度の向上をはかる事が、さらに三重の子供達を守り、また生育環境を改善していく施策を大きく進めることになると思うが、見解を伺う。

答弁

こども福祉部長
市長とのシステム連携により虐待相談対応力の向上について。
児童虐待の通告を受けた市町はこどもや保護者の状況を調査し、市町のみで対応が困難だと判断した場合は児童相談所に対し調査した情報の詳細を主に現在口答により送致している。
県と市町が児童の情報を共有する際に、正確性、迅速性を向上させるためにはICTの活用が極めて有効だと考える。
国は迅速な情報共有の必要性を重視し、本年9月1日から全国の児相に情報共有システムを導入し、要支援児童の転居情報、居所不明の児童に関する児童に関する情報について共有を図ることとした。このシステムは今後市町村にも展開し児相と管内市町村の情報を共有する方向性が示されている。
さらに国として児童虐待対応におけるAIの利用についての検討も始まっており、本県も検討委員会に参加し三重県のAIで蓄積したデータや成果、ノウハウ等が全国統一のシステムに活用されるよう働きかけをしている。
県としてはこれらの国の動きを注視しながら県がAIを活用する中で得られた成果や気付きを踏まえて今後も市町との一層の連携に向けた方策についても研究検討し、市町と共に県全体の児童虐待相談対応力の向上に努めていきたい。

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