ステラちゃん日本人になった!夫婦別姓?!


 やっと「小林」になれた

私の妻Casian Stelaの帰化手続きがやっと終了し、小林ステラになった。

  • 18年前に日本で婚姻届を提出し、
  • 翌年モルドバでの諸手続を終え配偶者ビザで来日、(さらっと書いたけどここも実は結構大変だった。それはまた別の機会に。)
  • 9年前に永住権を取得、

  • その後一度帰化手続きを始めるも、当時大使館もなかったことから、さまざまな必要書類をモルドバに行って取得してくるのか、家内の親族にたのんで手配するしか手段がなく途中で断念。
  • 3年前私の最後の市議選当選後、大使館が相互に出来たことを切っ掛けに手続きを新たにはじめ、
  • 先日やっと帰化手続きを終えた。

Casian Stelaは晴れて日本人になり、私の戸籍に入り、小林の姓を名乗る事が出来るようになった。

妻は

「やっと私や子供達と同じ姓を名乗れるようになった。」

「私はやっと皆と同じになれた。」

「今日から新しく生まれ変わった。空気が違う!」

と喜んでいる。

モルドバの国籍を失うことに対して何らかの寂しさを感じるのかと思っていた私は、心底喜び明るさしか感じられない妻を見て、彼女らしいなと微笑んでいる。


夫婦別姓に関して

上の子はこの春高校生になる。そして中二になる娘、小4になる息子が居る。いずれも母と私が今まで姓が異なる事、母が小林ではないことに別段違和感があるわけでも無く、不安があったわけでも無く、友達に説明を迫られていやな思いをしたこともない。

「外国人のお母さんだから」という誰が見ても明らかな理由があるからだとも思う。

しかしステラは小林を名乗ることを強く望んだ。

理由は、家族は一つだから。家族を分けるものがあるのはイヤだから。

姓が異なる事だけが理由で、夫婦の関係が不安定になり、子供達が将来を不安に感じる事はないと思う。根本的に妻と夫が普段どんな関係を築いており、仲睦まじく居るか居ないかが一番重要な要素だという事は明白だ。

姓が同じでも常にケンカが絶えず、罵り合うことしかなく、険悪な雰囲気が漂っていれば子供は不安を感じるだろう。

姓が異なっても、夫婦が愛し合っており、子供も家庭の環境も和やかであれば子供は安心するだろう。

だから別姓を名乗ること自体が夫婦の不和の原因になり、子供が不安を感じるようになるとは思わない。

問題は、「ナゼ?」というところだ。

後述するが、私の妻が現在直面している問題を除いて、旧姓を使用することが制度として充実しつつある。

住民票に旧姓を記載することが可能になり、旧姓を表記した住民票を提示することで、マイナンバーカード、免許証、パスポートほか身分証明書に旧姓を併記することが可能になる。パスポートに旧姓(Former Surname)という記述が入るのは令和3年4月受付以降の実施だ。

女性活躍社会を推進するにあたり、姓が変わることによってさまざまな手続き上の名前の変更、身分証明の変更を行わなければならないことが女性の社会進出の障壁になっている事は事実であり、解決すべき課題だと思う。

しかも、妻の手続きを行う際に分かったことだが、役所に届け出る事が出来る旧姓は1つだけ。離婚を繰り返して幾つも旧姓を名乗ることが出来るわけではない。同時に持つ事が出来る姓は現在の姓と旧姓の2つだけ。旧姓の拡大利用による濫用を危惧していたが、そこも一定の措置が講じられている事が理解できた。

ここまで旧姓の利用が保証されていてなお、わざわざ姓を別にする理由は何処にあるのか?

私には思い当たるものがない。説得力のある理由があるのであれば伺いたいものである。

少なくとも我が家に於いては、子供にとって最善の環境を整備することが大人の勤めだと夫婦間の共通認識が確立されている。

そして子供の安定した心の成長の為に、あらゆる不安要素を排除することは当然だと考えている。子供が「パパとママは何時か別々に暮らすことになるの?」と感じるような要素があれば、子供の不安に繋がると考えている。何より子供の安心は子供の顔に表れる。子供の笑顔の為を考えた時、ここまで旧姓利用の制度が整いつつある今、あえて別の姓を選ばねばならない理由が見あたらない。


帰化した外国人には旧姓を利用する手立てがない

日本人として新たに作られた住民票
さて、ここで私の妻の直面している課題に戻ろう。

日本で生涯暮らし、日本の社会の一員となり、日本人として生きる事を選んだ家内は、帰化した後もまだ出自を理由に日本人と同等に扱ってもらえない。そして同等に扱ってもらえる方法が現時点でない事が分かった。

私の妻の旧姓「カシアン」は実質旧姓ではあるが、日本の法律に則った旧姓にはあたらない。という良く分からない理由。制度上の問題のようだ。

マイナンバーカード、免許証への旧姓併記の為には住民票に「旧姓」を設定する必要がある。

日本人になる事で除票になった外国人としての住民票
私の妻は日本人として旧姓である「カシアン」を名乗った住民票が存在しないため、姓を変更するという手続きが出来ないのだという。(あくまでも説明を受けた私の理解)

当然だ。帰化して初めて日本人として住民票を取得し戸籍に入るわけで、帰化してない段階で日本人としての住民票を持てるわけがない。

日本人として帰化する前の「カシアン」という姓での住民票がないから、婚姻後名前が変わる事によって発生する旧姓というものが存在しない。だから旧姓併記が出来ない。という理屈。

外国人として住民基本台帳には登録されており住民票と名の付くものは存在する。そこには「Casian Stela」と書いてあるが、これは日本人の住民票とは異なるので、ここの記載を根拠に旧姓として扱うことは出来ないというのだ。

日本人として結婚前の名前の住民票を持っていない家内は、望んで日本人になる選択をしたにもかかわらず、実質世間一般に言われる生を受けたときの名前「旧姓」が存在するにもかかわらず、日本人と同様に旧姓を身分証明書に記載することが出来ない。

制度が変わらない限り。

パスポートはもっと残念だ。外務省のページを見る限りは、旧姓を証明するために必要な書類は戸籍でもかまわないと書いてある。

外務省:旅券(パスポート)の旧姓併記について

そして我が小林家の戸籍には妻の欄に「従前の名前」として「カシアン ステラヴァシーレ」と明記されている。(ヴァシーレとは家内の父の名前であり、モルドバ共和国ではこのように表記する。私の場合小林 貴虎 弘と付くようなもの)帰化する前の従前の名前、出生時の名前が書いてあるにもかかわらず、これを「旧姓」として取り扱ってくれない。

実は今回気が焦って特段海外渡航の予定もないのに、3月中にパスポートを申請してしまったので4月以降に実施される旧姓や別姓の表記の選択が出来ず、姓:Kobayashi(Casian)と書いて頂く事でいったん了承したのだが、更に問い合わせてみるとこの括弧書きの対象としてすらステラのケースは認められないという。括弧書きすらしてくれないというのが外務相の公式見解だというのだ。

3月までの括弧書きという特例が認められた経緯は、漢字文化圏の他国に於いて読み方が異なる人達のための括弧書きなのだという。即ち姓:蒋 Sho(Chiang) 名:介石 Kaiseki(Kai-shek)と書くことが出来る様にする為の特例だったという。アルファベット文化圏の人達の為の制度ではなかったと明確に言われた。驚きである。

加えて4月以降の新制度においては、旧姓でも別姓でもないので、いずれにもあたらないから括弧書きも認められないというのだ。
外務省と取り合ってくれた三重のパスポートセンターの方の話では、「日本人になる事を望んで帰化したのだから日本の姓を名乗るべきだ」というのが外務官僚の口ぶりだったという。(配偶者ビザ取得の時に直面した、駐ウクライナ日本大使館に勤める外務官僚に対して感じた感情が蘇ってきた。^^;)

そう、望んで日本人になったのである。だからこそ日本人と同様に「旧姓」を併記する手立てを整えて欲しい。イヤな言い方だが「出自が異なる事による差別的扱い」に相当すると考える。

因みに、我が家の子3人はモルドバでの国籍を重ねて持っている。いずれ国籍を離脱する必要がある。その時どのような手続きが必要になるのか分からないが、仮に母親であるステラがモルドバで身分を証明する必要が発生したとき、彼女がモルドバ国籍だったときCasian Stelaと名乗っていたことを証明する手立は永久に失われたことになる。

制度としての選択的夫婦別姓に慎重な理由

旧姓の利用が制度的に整いつつある今、それでも尚制度として別姓を可能にする必要があるのか、という疑問が解消されていないことは先述の通りだ。制度改正に前向きな人の中には、「それでも必要だという人が居るのなら答えるべきじゃないか」と主張する。一見筋が通っているように思うが、「必要だという人が居る」というだけでは制度を改正する根拠としては不十分だと考える。なぜなら「夫婦は同じ姓を名乗る」という圧倒的多数が認識している共通の前提を根底から崩してしまう大変革だからだ。そこまでせずとも例外はあくまで例外として扱うべきではないのか。かつ例外だからと言って切り捨てるのではなく、例外にどれだけ柔軟な対応ができるかが重要だ。そして柔軟に対応できるようにしたのが旧姓の活用である。充分理性的な対応だと感じる。しかも迅速だった。

にもかかわらず具体的になぜ「制度として選択的夫婦別姓を実施する必要があるのか」という疑問に明確な回答が得られないままだ。

例えば推進派の一人サイボウズの青野さんのインタビューを見ても、

  • 戸籍の表記に基づく保険証、給与明細
  • パスポート
いずれも旧姓の併記が可能になり解決済み。

日経ビジネス:サイボウズ社長、青野慶久さんインタビュー

このインタビューではこれらが解決されないと日本の生産性が上がらないという締めくくりになっているが、各種の身分証明書に旧姓併記が舗装されている今でもなお、生産性が低下しているという主張の根拠は全く示されていない。

新R25:インタビュー

このインタビューで出てきている根拠も夫婦別姓が認められないことのデメリットとして真っ先に挙げられている、

  • 保険証
  • 免許証
  • 銀行口座
  • パスポート
  • 株式
株式に関しては所有していないので分からないが、銀行口座に関しても身分証明書に旧姓が併記されるようになった事で柔軟な対応が進んでいると聞く。
ホテルや飛行機の予約に関しても4月申請以降パスポートに(旧姓:Former Surname)という表記が付くことで解決されるだろう。
過去の論文が名前が変わったことで認知されないという議論も、仕事によって旧姓を使い続けている、政治家やミュージシャンも多数いる。私の家内も画壇で使う名前は引き続き今まで名乗ってきたCasian Stelaである。

人の認知というアナログであいまいさの残る分野に於いては、証明することは不要で旧姓を使い続ける事に、これまでもこれからも何ら問題は無い。
個人認証という正確に個人を特定する目的では、そもそも同姓同名が存在する名前などというものは不確かであり、今後国内ではマイナンバーカードの普及によってより確実な方法へと変わっていく事になる。

解決すべき課題がないのであれば、制度を変更する根拠が存在しない。即ち立法事実がないというのが私の見解だ。

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追記
稲田朋美先生の動画を拝見し、新しいことを知りました。
後見人制度や登記をするにあたって、
身分証明書に記載されている旧姓や通称では
法律上の制限がある事を知りました。

旧姓併記では解決が付かない問題があると理解したので
稲田先生が提唱される「婚前氏続称制度」に、賛同します。



コメント

  1. 夫婦別姓は、結婚しなくてもパートナーの遺族年金や遺産を貰おうと考える非常識な人達のワガママです。しかも、「背乗り」と言われる、日本国籍が無い者が不法に日本国籍を得る為に都合がいい制度なのです。
    今の議員さんには、庶民から利便性を求められる意見が多いと思いますが、利便性を追及すると、倫理や道理が歪められる事になりかねません。利便性より、道理を大切に考えて、日本古来よりの家族像を大切にして下さい。

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  2. うむ⁉️
    詳細を突き詰めると、
    諸条件が
    法律上必要になります。
    ①倫理
    ②道理
    ③法律
    世界的に見て正しいとする
    真理を求めたいです。

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  3. 議員の奥さんが 小林性を名乗るのはたいへんな御苦労があったのですね 晴れて日本人になっておめでとう御座います

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    1. ありがとうございます。ステラはとても喜んでいます。

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