2012年1月30日月曜日

福岡アイランドシティー

会派の管外視察のため福岡に来た。
博多湾に浮かぶ人工島アイランドシティー。
近代化し大量輸送を行うようになった大型船舶は、古い時代の船とは異なった地形が必要になる。
昔は沖に船を泊め、小型船で浜までを行き来し海岸に船を乗り上げて上陸した。つまり遠浅の海が良港だった。

しかし多様のコンテナを積む大型船は荷の重さで深く沈む。近代の輸送技術に適合した港として存続するためには3〜4メートルの海底を15メートルほどに深くする必要があった。
港の機能に依存している部分の多いこの町は多額の費用をかけてでも近代化する道を選ぶ。

その浚渫した泥を使って副産的に出てくるのがこの人工島だ。実にその工事費用4000億円。これを一般会計からの繰り出しを「現時点までに於いて」無しでやってきたから凄い。つまり工事費などは基本、土地の売却などによってまかなってきたというわけだ。国からの助成や公共部への市の出費はあるだろう。しかし平行して売却益には含まれない固定資産税としての増益も計算には入れられていない。もとより助成や市の負担ありきで行われる事業とは少し姿勢が違う。利益を上げなければならないという職員の緊張感もあるようだ。もっとも地価の下落と景気の後退からどうやらそろそろ市が負担しなければならなくなりそうであることや、病院や老人ホームなど民間の購入が進まないところを市の施設が利用する。と言うセンパレ的な部分も実際あるようだが、いずれにせよ事業に対する経済的観念に基本的な差を感じた。

新興の住宅だから当たり前と言えばそれまでだが、アイランドシティーに移住する人の多くは30代。子育て世代。小中合同の市立学校がある。進学高校を選択する生徒もどうやらいくらか多いらしい。初期に分譲された戸建て部分は5000万以上。高層マンションの上階は1億を超える部屋もあるらしい。富裕層が集まってきている。島を横断するメイン道路から一本ずれているため車の通りは激しくなく、海に囲まれた公園で自由に遊ぶ子供達の姿も見られた。
子供を持つ世代にとっては魅力がたくさんある生活環境を創出している。

福岡はなんと毎年1万人規模で人口が増加しているという。その多くは周辺の九州の他都市からの移住らしい。
説明をしてくれた職員に「福岡の人口増加は、市の戦略として人口流入を意識した市の政策とそれに基づいた事業の積み上げの結果なのか?」とたずねた。
しかし職員は特に意識して来たわけではないという。むしろ民間の経済活動や自然の流れによって気が付いたら予想以上の増加を記録しているに過ぎないと言う。

しかし、やはり私には自然発生的にたまたま人が集まってきたという事ではないと感じられる。

何よりもこの町は町の存在価値や機能を明確に打ち出し、その戦略目標を軸に「積極的」な行動を行ってきている。
漢委奴国王印」として小学校で習った金印が見つかった場所であり、古くから大陸との交易が行われていた地域。中世には華人の集落があったらしく常に港としての役割を担ってきた。鎖国に入り一時期は途絶えたわけだが、近代に於いて港町としてのアイデンティティを再確立し、現在に至る。
歴史に裏打ちされた町の存在意義、地の利、それらを分かっていたから近代に入って状況が変わったとしても、浚渫という「時を掴んだ」判断が出来たわけで、それが発展、人口の流入を生んでいると思う。

四日市も実は似た側面がある。伊勢湾内の港の一つでしかなかった四日市は明治初頭に近代化を選び、浚渫をし大型船舶の利用を可能にしたことが当時の国が注目し軍港となった。だから今でも機能する港として存続している。(実は行政当局ではなく個人資産家が浚渫を行ったらしいが)

津は港としてそういった判断をしなかった。

「適切なときに適切な判断」を行うことが、魅力ある町を作るためには不可欠である。
その意味に於いて町づくりは確実に商売の側面をもっている。売り上げの代わりに人口流入が指標である。のるかそるか。先駆的チャレンジをし続ける必要がありそこにはリスクがつきまとう。しかしギャンブルではなく、勝率を上げるための努力が要る。

しかしそこにはよく役所で聞く「前例がない」という判断基準は存在しない。
前例にあることだけやっていて商業に成功はない。

福岡は北九州と共に国に特区申請を提出し、受理されたようだ。
貿易を拡充するための規制緩和や免税の特別措置を獲得することになる。

我らが津市はこの特区申請に「参加表明すらしていない」現時点でも「特に考えていない」という事らしい。

もちろん韓国、台湾、中国を意識した観光収入を目的にした戦略にも余念がない。釜山まで船で3時間。忘年会を半島で、その日の内に帰宅。という様なパターンも結構あるらしい。町にはハングルや中国語での看板を掲げた店が多数ある。


これらの基本的姿勢の差が、反映と衰退の境界をつくり、人口流入の差として確実に結果を表していると感じる。

津市はどのような町づくりを目標にしていくのか、人口流入のための「戦略」を明確化する必要がある。常々言っているように流入の種類は2つ。短期=敢行と長期=移住だ。
津に住みたいと思う環境作りが必要であり、また空港アクセスの良地であることをしっかり認識し大陸からの観光収益を視野に入れた観光資源開発も必要だと考える。そこには「医療観光」「リトリート」「富裕層」そんなキーワードを今私は意識している。

市民との対話「だけ」では未来を見据えた戦略を実践することは出来ない。