2014年5月21日水曜日

杉並区のICT教育


杉並区にある桃井第3小学校に訪れた。

ここの学校には「すべての教室に」プロジェクタおよび繋がったままのPCが常設してある。
単なるプロジェクタではなくペンと連動しておりタブレット端末の如くクリックできたりページを繰ったり、書き込めたりといったPCの操作ができるようになっている。

その他
インタラクティブボードと呼ばれる70インチの大画面モニタが理科室に一つ、一般教室にもプロジェクタの代わりに3台、計4台配備されている。

デジタル教科書は各教科書出版会社がすでに販売を開始しており、理科の教科書だとメダカの雄雌の差を示すひれの画像を画面いっぱいに拡大できたり、泳いでいる動画を再生したり出来るように作り込んである。

ベネッセの提供する教材も取り入れており、算数が特によく出来ているらしい。
図形を画面上で折ったり、回転させたりといった動作をペンや、インタラクティブボードの場合は手でも操作ができるらしい。

NHK等の提供する動画コンテンツも上手く使っており、実際に参観させてもらったクラスの一つでは国語の竹取物語の音読を女優の緒川たまきさんが読んでいる動画を再生、詞の音の響きを感じるのに上手く使っていた。

もちろん担任が練習して上手く読んでも良いのだろうと思う。しかしその辺はプロ、読みが美しい。もちろん国語以外の学活などの日常的に聞いている先生の声とは違う人が読む音だからこそ、特別に意識して聞けるという効果もあるだろう。

他、音楽、図工、また特別支援のクラスにおいても

各教員が積極的に授業をICTを上手く組み込みながら作り上げている。

というか、自然にそこに有り、当たり前のように使っている、という表現の方が正確かも知れない。

他校に赴任された先生の中には、桃井第3小学校に赴任したときは使い方に戸惑ったものの、一端慣れた同校の設備が新しい学校には無く凄く不便だと漏らす人もいるらしい。

最初のハードルさえ越えてしまえばこれ程便利で使い勝手の良いものはない、という感覚に変わっていくという実感を、説明してくれた理科の教員は話してくれた。


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切っ掛け・予算取り

実は新年度になり同校を離れて教委に戻った前任の校長先生がわざわざ我々の視察のために同席をしてくれた。彼が在任中の平成23年頃から少しずつ設備を買い足していって今のような充実した教育環境を整えたのだという。

ここの学校のおもしろい所は、実は教員側の方からICT機器の設備拡充を求めてきて今に至っているという点。

それを校長が学校に充てられた予算の中で上手くやりくりをしてまず、数台のプロジェクタを購入した。
その後買い足しを重ねて充実させていったが、結果として学校の成果が認められたことと校長側からの要望を教委側が受けて全クラス整備が整い、今年は4つのインタラクティブボードが配備されたという。

また、同校の成功を足がかりに杉並の他の学校にも随時プロジェクタを配備していくことになっているのだという。

その額、平成26年度予算を見る限り7億弱。
そしてこの7億は全て区単独の予算。言い換えるなら、国や都から一切補助金をもらわず(もっとも元より不交付団体と言う事で独自財源で区政を運営しているようだが)教育に7億充てている。独自の教育行政が組めるという素地がある。

さらに面白いのは
各校の校長が教委に対してプレゼンテーションを行って上限300万の予算を獲得してくるシステム。
この学校は50万ぐらいだと言うが、他には演劇に力を入れている学校があるらしく、そこが300万を取っていったとか。
明確な目標、そしてそれに付随する成果、もちろんもらった以上は成果を出さなきゃならないと言う責任とプレッシャー、そんな適度な競争関係が、ここ桜井第3小学校においてはICTの拡充という方向に向かっていったんだと感じた。

学校が2−30万ほど独自の裁量で使える予算があること、そして各学校がコンペをして優良な取り組みにはしっかり予算をつけるという仕組み。この2点は学校の取り組みを充実させる為にとても重要だと思う。

成果がを作る事の出来るシステムと教員のモチベーション

意欲のある教員がやりたい事を校長が理解をして実現させて上げる。その成果をしっかり管理組織である教委に伝える。そして現場を充実させるための予算を代弁者として確保し更に充実させる。

無理くり研修会をやって使い方を教えていた時代もあったらしい。
しかし今はどうやら教員同士が自発的に授業作りの為に研修時間を取っているという。

子供の成績という形で成果が出てくれば教員もモチベーションが更に上がる。正のスパイラルが既に生まれている。


発想したものを具現化するシステムが予算をつけるという所まで出来上がっている事がこの杉並の教育行政の凄いところだと思う。

成果

学校別所か市区町村別の結果公表ですらするのしないのという議論の対象になっている全国学力学習調査(通称学テ)の結果をこの学校は学校通信で公表している。

もちろん自信を持って公表できる成果があるから出来る。
そしておそらく公表に値する成果を自らで作ってきたという自負があるから公表できるのだと思う。

国語A
全国平均62.7に対して都の平均64.8
同校は70.7

国語B(応用力)
全国平均49.4に対して都の平均52.1
同校は62.9

算数A
全国平均77.2に対して都の平均78.4
同校は85.3

算数B(応用力)
全国平均58.4に対して都の平均60.8
同校は72.4

これだけの成果を見せつけられたら学校の取り組みに対してだれも文句を言わないだろう。もちろんICT以外の取り組みも総合してこの結果を達成したのだと思う。ICTありきだとは思っていない。それ以上に教員のモチベーションが高いことの方が重要だと思う。
しかし、作りやすい、面白い授業を作ることにICT機器およびソフトウェアを含めた環境は確実に正の影響を及ぼしていると思う。

他杉並区が独自に行っている
勉強が楽しいか?
であったり
分かることや出来る事が増えているか?
であったり
出来る事が増えていくことが楽しいか?
といった質問事項のあるアンケートにおいても
軒並み杉並平均よりも成績が高い。

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雑感


23区には都が配置した教員と区が配置した教員がいるらしい。
そして桜井第3小学校には区が配置した理科の教員がおり、5,6年生対象に教科担任制授業を実施しているという。

本来加配と言われる教員は子供達のより高い成績、達成度を納めるために配備されるべきだと思うのだが、
津市の場合はどちらかというと問題対応が占めている割合が多いように見受けられる。

学校の本分である
子供の学力習得という原点にもう一度立ち返って津市の学校教育の在り方を考え直すべきでは無いかと感じている。

その為には保護者の学校に対する考え方も変わらなければならない気がする。

学校と保護者はよく両輪であると言われる。
子供を育てるという共通目標を持ってそれぞれ学校と家庭で教育を担っていく必要がある。
その為には相互に信頼関係もっと深めていく必要があると思っている。