日本語
大国主命の国譲りが終わった後、高天原の神々は天照大神の孫にあたるににぎの命を高千穂に降ろす。そこでににぎの命は木花之佐久夜毘売にであう。 細かな内容が分からなくても このはなのさくやびめ という名を聞くだけで小4と小2の娘達はこの名の持ち主がかわいらしい女性であると言う事が分かり、一度聞いただけでその名前を覚えている。 因みにその姉の岩長比売(いわながひめ)は岩のようにごつごつして面長だったのか、あまり美しくなさそうな印象を名を聞くだけで想像することが出来る。 面白い。 1500年も前に書かれた書物に記されており、また当時既に伝承だったこの名は、即ち1500年よりもさらに昔から存在していた事を意味する。 それだけ古い時代に使われた名前を21世紀の子供が音を聞いただけで伝えんとするイメージが伝わる。 これはとても凄いことだと思う。 我々の話す日本語が古くから絶えること無く継承されており、且つ現在も使用されている生きた言語である事の証の一つだと考えられる。 日本語は現存する数少ない古代語である。 例えばヘブライ語は一度途絶えた後に復興されている。 ラテン語はその後フランス語、スペイン語、イタリア語、オランダ語、ルーマニア語など複数に分岐しているが、現在ラテン語を日常の言語として使っている国は存在しない。 漢字ばかりで書かれたこの書物は漢字とひらがなに書き直さなければ殆どの現代人はよめない。とはいえ読んで一端「音」に変換すれば、聞く者は1500年を経ても尚その多くを理解することが出来る。 そして当時の状況に思いを馳せ、1500年前にタイムトラベルする事が出来るのである。 それがどれだけ希でどれだけ恵まれたことなのか、他の国と比べてみると良く分かると思う。