少人数学級について


一クラスの児童数と学力の定着度について考察し、去る9月30日に議会で質問した。

質問の要点


指摘したのは大きく2点。
1点目
過去に津田健児県議および奥野英介県議が少人数指導の効果について検証し質問している。
少人数指導は小規模学級とは異なり、学級規模はそのままにして補助の教員を一人付け、生徒のレベルや理解度によってクラスを分け、それぞれにあわせた指導をする仕組みだ。

平成28年と平成29年の学力学習調査の結果を比較した資料を津田県議が求めたところ、算数に於いて
少人数指導を行った学校と、行わなかった学校では、少人数指導を行った学校の方が結果が悪かった事が明らかになった。(資料のリンク

小学校の学力学習調査と一学年当たりのクラス数
その後引き続き検証するという事だったが、平成29年と平成30年の結果は出ているにもかかわらず検証結果が公開されていないので、提出を求めた。

2点目
文部科学省も学術研究も学力と児童数の関係について明確な関係を見いだせていない。しかし後に示すように、私が限られたデータで比較をしたところ、児童数が少なすぎると学力の定着に負の影響を及ぼす可能性がある。
国の調査や他の件のデータでの研究成果ではなく、三重県の状況を三重県のデータで公開されているデータよりも詳細なデータを持っている県教委が検証すべきだと指摘した。

また、その事に加えて、適切な学級規模の下限を示すべきではないかと伝えた。
学校の統廃合は非常に難しい問題だが、学校の主体は生徒だ。仮に生徒に不利益な環境があるのだとすれば、それを是正するのは大人の役割である。

小学校の学力学習調査と一クラス当たりの児童数

得られた答弁


  • 過去の公表された少人数指導の成果、平成28年と平成29年の比較と同様の成果報告を平成29年と平成30年の比較で改めて提出する事。
  • 市町と協力し少人数学級と学力の関係の調査を行う事。


質問の背景


毎年この時期になると更なる少人数学級を求める請願書が出てきます。昨年津市の議会では、この請願に反対討論をした。本当に学級規模を小さくして一クラスの児童数を減らせば学力が上がるのか、疑問に思っていた。


  1. 文科省も明確に少人数学級と学力向上に相関関係があるとは明言していない。
  2. 学術研究の中にはその効果はあっても非常に限定的だとする論文が存在する。


文部科学省の公立義務教育諸学校の学級規模及び教職員配置の適正化に関する検討会議に提出された報告書には、児童数と教員数のバランスにおける他国との比較やいじめなどの対応のため学級規模を小さくする必要があると主張しながらも、事学力との関係については

  • 学力水準との相関がないのではないか等の指摘がある。 
  • 少人数学級が学力に与える影響についての調査結果は様々 。
という見解がある事を認め、学力の定着度合いには様々な要因があるため、学級規模の大小だけでははかる事が出来ない事を認めている。


中学校の学力学習調査と一学年当たりのクラス数
また、この検討会に提出された資料の中には、慶應義塾大学の赤林英夫(英文)教授の研究成果もあり、その資料の結論は以下の通り。


  • 少人数学級の教育効果
    •  我が国の現状において、学力への効果があるとすれば、中学校よりは小学校
    • ただし、決して過大な期待をしてはいけない。
  •  問題は「費用対効果」
    • 「学級規模縮小」だけに議論と予算を費やすことは無意味
    • OECD平均並の教育支出:他にやるべきことはないか?

その為公表されているデータを元に独自の調査を行う事とした。

比較調査
資料作成を行った8月から9月中旬において平成31年4月に行った学力学習調査の結果がそろわなかったため、平成30年のデータを元に調べた。

学力学習調査の結果が高いと言われている富山、石川、新潟、福井の中からそれぞれ2市づつ、三重県の29市の中で結果を公表している12市の学力学習調査の5教科の平均点の合計を多い順から並べ、その上で、各市の一学年当たりのクラス数を折れ線グラフにした図、一クラス当たりの児童数を折れ線グラフにした図、およびそれらの数値を表にした画像を添付した。

本来平成31年度4月時点での6年生のクラス数や児童数が分かればもう少し正確なのだが、公表されていないため、一学年当たりのクラス数は学校基本調査で公開されているデータの中から総クラス数を総学校数で割り、更に6で割った数字。一クラス当たりの児童数は、総児童数を総クラス数で割ったものを使った。

折れ線グラフのトレンドラインを引いてみると、一学年当たりのクラス数と学力学習調査の結果に関係性は見られなかったが、一方一クラス当たりの生徒数に関しては何らかの関係があるように見受けられる。

一番学力が高かった富山県①は市の一クラス当たりの平均児童数は 27.5人であるのに対し、一番学力の低い三重県⑫は一クラス当たりの平均児童数は12.5人だった。

中学校の結果もまた、一学年当たりのクラス数と学力の間にはにはあまり明確な関係は見いだせなかったが、一クラス当たりの児童数に関しては、小学校ほどではないものの関係があるように見受けられる。

一番学力が高かった福井県①の一クラス当たりの平均児童数は24.4人。一番学力の低かった三重県⑫は一クラス当たりの平均児童数は13.2人だった。

学級規模が大きい法が学力の定着にとって良い効果があるのか、
或いはむしろ学級規模が小さい方が学力の定着にとって良い効果があるのか、
適正な規模は何人ぐらいなのか、
明確な事を示すにはあまりにもデータ量が少なすぎるが、

今回の調査によって少なくとも、学級規模が小さすぎると学力の定着には良くない影響があるらしい事は示す事が出来たと思う。






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