民泊、文化財保護、対ミサイル防災訓練:へ伊勢29年度第3回定例会質問まとめ

平成29年の第3回定例会での質問内容を、いつも通り分解して、動画と共に解説する。

なお、ブログに埋め込んである動画は解説ごとに分割してあるので、通して1時間見ていただける方は、このリンク先から閲覧いただいたほうが便利である。

今回は5つ準備しましたが、結果的に取り上げることが出来たのは、

  1. 旅館業法の改正について。所謂民泊に対する津市の対応の確認
  2. 文化財保護法改正について。これからは文化財の活用をうまくやっていきましょうね。という提案。
  3. 弾道ミサイルに対する防災訓練に関して。先に津市で行われた防災訓練から見えてくる課題と、今後の訓練の在り方に関して
以上の3点。

それぞれ 8分39秒、43分34、7分47秒といったかなりアンバランスな状況だった。

1. 旅館業法の改正について
民泊が法的に位置づけられてくると共に、その管理の在り方が固まりつつある。

基本的には県に登録し、県が管理し、場合によっては県が立ち入り権限を有する形で条例が整えられる事になる。

しかし、
ゴミや騒音といった問題は市の住民から上がってくる要望で、市民部に上がってくることが多い。そのたびに県に対応を要請しても、旅客はすでに旅立っており、対応が間に合わないことが懸念される。

現時点ですでに登録されている、無許可だろうと思われる民泊が津市にはあるので、市の窓口対応をしっかり整えてもらいたい旨を伝えた。

また、一方で山間部など古民家を利用した民泊事業で成功している事例もあるので、活用すべき所は活用し、規制すべき所は規制するため、津市としての対応を条例など定め明確にしておくべきだと提案した。

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2. 文化財保護法改正に関して

文化財は保護していくためには沢山の予算が必要である。
現在までは文化財は教育委員会の管轄で「保護」の観点から利活用にかなり制限がかかっていた。ところが活用なしに収益化は難しく、得た収益を適切に「保護」の費用に運用していくスキームが作りにくかった。
今回の保護法改正により、もっと広く利活用を捉え、保護と活用の両輪を上手く回していく事が今後の方向性として定められることになる。

全体としては、現時点で津市の文化財保護が、

  • 資金面に於いて不十分である事
  • 利活用のための前提としての魅力の引き出し方が不十分であること
  • 津市の郷土資料館はPFIで行う可能性を検討すべきである
などを追求し、概ね確認した。

以下45分弱の質問を分割して解説する。

今回質問するに当たって根拠とした書類
のリンクを張っておく。

まず津市の文化財から2つ
  • 榊原のかんこ踊り
  • 川喜多半泥子の千歳山荘
がそれぞれ中間まとめたたき台に書かれている「未指定を含めた文化財 は、開発などによる消滅危機だけでなく、担い手の不在による散逸・消滅の危機にも直面している」
ことを確認した。

また、半泥子の千歳山荘の部材が「消失の危険に直面している未指定の文化財」であると主張したが、消失の危険に関しては現在補完している所有者に意向を確認すること言質を取った。
議場でも発言したが、この千歳山荘の復元を求めている団体は、この部材を捨てないように頼んでいるところで、所有者の考えが変わればいつ捨てられてもおかしくないものだと危機感を募らせており、一刻も早く引き取ることを要望している。

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芸濃町にある旧明村役場を保存していくことが決まっている。
28年度には1276万6000円を計上し修繕の設計をし、今後工事に1億4800万をかけることが分かっている。
これは合併特例債など国の補助を使うが市の予算から捻出すると答弁している。
入館料を取る予定はなく、修繕の後さらに10年後20年後の経年劣化に対する維持費の財源は確保しておらず、必要な歳には市の予算から充当するという考え方を確認した。

その上で、明村役場に関しては今後の財源確保に課題がある事の認識を確認した。

この事を踏まえた上で
津城の石垣に関しては財源確保も出来ておらず、今後の維持に関しての明確な計画も出来ていない事から、継承がままならない文化財ではないのか?という事を認めさせようとしたが、今すぐ崩れるわけではないという見解を示し素直には同意しなかった。

しかしながら実際派手に崩落をしていないだけで、細かなところで崩れが生じているのは現実である。

現時点で修繕の為の費用捻出が出来ていない、今後の修繕計画が立っていない以上、経済的な理由で継承がままならない状態にある文化財と言わざるを得ないと私は考えている。

中間まとめのたたき台には
「文化財の継承と地域社会の維持発展は密接不可分。保存と活用(つまり収益)を車の両輪に、文化財の継承と地域の持続的な維持発展を共に目指すことのできる方策を模索していく必要がある」
と書かれているが、
現在の津城は地域社会の発展に寄与し、保存と活用の両輪が上手くまわり、文化財の継承と地域の発展が一緒になって進んでいる状況が出来ているとは思えない。

これからの津城を含めた文化財の保護には地域の経済界との密接な連携が不可欠であり、その事を可能にする法改正が今準備されている。

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文化財の保護と経済的な利活用を可能にするための前提として、庁内の連携が不可欠である事の認識を確認した。

保護計画を作るに当たっても「中間まとめ」では景観・まちづくり行政や・観光行政など市長部局との連携が求められていると書かれている。

津市に於いても商工観光部や都市計画部がこれにあたる。

今までの文化財保護=教育委員会の所管という考え方から脱却し、部局横断で文化財の保護に取り組む必要がある。

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これらを踏まえ
津市に於いても文化財保護のための基本計画を、地域の経済界や住民と連携をとって策定していくべきだと主張した。

議場で引き合いに出した倉敷の基本計画の一部を画像にして添付した。
ここには文化財保護と利活用の循環の輪が明確に記されている。

文化財保護のための寄附をしてもらうという低レベルな話ではなく、うまく活用して行くために民間からのアイデアが必要である。

計画書の策定を前向きに検討していただくよう要望した。

「法改正の方向を見据えて検討していきたい」という行政的な答弁ではあるものの、議場で無理矢理決断させるのは少し無茶なので、必要性さえ認識していただき前向きに検討すると言わせただけで、十分だと考えている。

当然今後も追求していくつもりである。






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文化財を利活用していく上で、文化財そのものを魅力的に展示していく工夫が必要であることは大前提であるが、
残念ながら津市の文化財が、魅力的に展示されているとは言いがたい。
その事例を示し、確認した。

偕楽公園に建立されている斎藤拙堂の記念碑である。
斎藤拙堂は藤堂藩の藩校の3代目学長で、当時の有数の漢学者であった。
その事を晩年の弟子であった三島中州が自らを謙りながら作成した文章が石碑として残されている。
ここには斎藤拙堂がどこで産まれどのようにして学長にまで上り詰め、どのような人達と交流があり如何に評価されていたか、またどのような性格の人であったかなど、人生ドラマそのものが記されている。

しかし漢文で書かれており、解説文もないためその歴史ドラマが適切に展示されていない事を指摘した。

また、他にも偕楽公園には沢山の碑文がある事。
津市内には更に多くの碑文があり、これらもその魅力を引き出せているとは言えないことを確認した。
久居にある高通公園の碑文、久居村の合併の経緯を記した碑文、また寒松院の明治天皇ご巡幸の記念碑を例として示した。

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もう一つ文化財の保護に関しては、文化財の魅力を引き出すために文化財そのもだけではなくその周辺の環境も一体的に整備していく必要があると書かれている。

実は寒松院の桜は見事で、隠れた名所であった。しかしこれが切られてしまった。維持が難しくなったためだと思う。

中間まとめたたき台に書かれるように環境の整備も必要である事の認識を確認した。

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最後にかねてより多くの人達から要望を受けている津の郷土資料館に関して改めて認識を確認した。

私よりも先に質問をした田矢議員も郷土資料館の建設に関してたずねたが、
縮小こそあるが新築はありえないと否定的な見解を明確にした。

しかし、今回の文化財保護計画の改正の中枢は、
文化財の保護を教育委員会だけの管轄から、商工観光、都市計画、そして庁内から庁外へ、地域の商店街を含めた経済界と共に、文化財の在り方、保護の進め方を検討していく方向への転換である。

これをPPP(Private Public Partnership)といい、官民連携と和訳される。
そしてさらにはPFI(Private Finance Initiative)といい、民間の資金を使って公共事業を行う、という方向に行政運営は変わってきている。
上下水道やほか公共施設のこれからの在り方もPFIの活用が重要なウェイトを占めていくことになる。

文化財に関してもこれは例外ではない。
だからこそ、市の予算だけでは建設がムリだと拒まれ続けてきた津の郷土資料館。
PFIで建設することは可能ではないか?検討すべきではないか?
と改めて問うた。

可能性を検討することすら否定できるはずがない。

今後の文化財の在り方を検討してく中の一つとして検討したいと、まぁなんとか渋々議場で言質を取った形だ。

以上が文化財保護法改正に関して。
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最後に
津市で8月26日に行われた、弾道ミサイルに対処する防災訓練に関して、当日のトラブルの原因と、今後の在り方に関してたずねた。

共産党の県会議員が県に中止の要請を出したのは新聞報道の通り。
しかし県は、「どのように対応して良いか分からないという不安を抱えている住民がいる為、訓練は必要である」という見解
を示し、実施に至った。

当日10時に防災無線から放送がなるはずが、準備の不手際から8分後に放送がなった。
弾道弾はJアラートが発令されてから4−5分で着弾することが分かっている。

8分遅れては訓練の意味をなさない。

Jアラートの一斉メールが配信されなかった。現実に即してこれは実施すべきではなかったのか?とたずねたが、これは国が調整せねばならず、実施が困難だという答弁があり、了解した。

そして、なによりも餅は餅屋である。
防衛省が主催して行っている弾道ミサイルに対する講習と訓練が29回も既に行われている。
避難訓練に参加した住民からも、各地での訓練の必要性を求める声が聞こえた。
これらの専門家の知識を借り、更に訓練を実施していくべきではないか?と問い、前向きに検討していく旨の答弁をもらった。
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以上平成29年第3回定例会の質問のまとめである。

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