国民保護における市の責任、ほか2点。平成29年6月定例会

今回3つの問題について質問しました。
1. ミサイル攻撃とテロ攻撃を受けた場合、市民の命を守る上での市の責務(およそ45分)
2. 水道法改正とPFI(民間資金など活用事業)(およそ10分)
3. 教育ネットワーク、ファイルサーバの不具合に関して(およそ5分)

以下それぞれの質問ごとに解説します。

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1. ミサイル攻撃とテロ攻撃を受けた場合、市民の命を守る上での市の責務

概要
日本に向けてミサイルが打ち込まれてる。
発言の内容を額面通り受け取るべきかどうかは別の問題として、「日本を焦土と化す」と公式に発表している国がある。

国は戦後初めて武力攻撃事態を想定した注意喚起を4月21日に行った。

また国は「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(以降国民保護法)を策定し、国、県、市の責務を明確にしている。

今回の質問では
訓練の実施
小中学校における対応マニュアル
備品の整備に関する国への要求
ダム破壊によるテロ攻撃
武器になりうるプロパンガスを取り扱う業者との情報共有

以上五つの問題に関して市の見解を伺うとともに、津市国民保護計画の見直しを求めた。
  • まず、国民保護法上の市の責務に関するに認識をたずねた。(およそ12分)
国と地方自治体の責務に関しては国民保護法3条に明記されている。「国民の保護のための措置」をそれぞれ実施することだが、
同法10条2項では、国の行う措置は「救援の指示」と書かれており
同じく16条2項では、市の行う措置は「救援の実施」となっている。

救援とは何か?という定義は75条に書かれていて、
一  収容施設(応急仮設住宅を含む。第八十二条において同じ。)の供与
二  炊き出しその他による食品の給与及び飲料水の供給
三  被服、寝具その他生活必需品の給与又は貸与
四  医療の提供及び助産
五  被災者の捜索及び救出
六  埋葬及び火葬
七  電話その他の通信設備の提供
八  前各号に掲げるもののほか、政令で定めるもの

となっている。
簡単にまとめると、ミサイル攻撃を受けて死傷者が複数人発生した場合、手当てをしたり、被災者を救出したり、あるいは埋葬を実際行わなければならないのは、地方自治体だ。国は指示をするんだ。という点。

正確には75条には都道府県の責務として書かれており、市町村は県が「必要だと考えた時」不足を補うという書き方がされている。

ただ、現実消火や救命は消防が行う行為。そして消防は市の管轄。「国や県の指示を受けてから」ではなく、市がまず動かないわけには行かない。

ここで大事なポイントは、大規模地震などで大変ご尽力いただいた自衛隊は、武力攻撃事態に限ってはあてにできないという点だ。外国からの攻撃を受けている。自衛隊はその攻撃国に対して全く別の任務を遂行する必要がある。

すなわち、市の職員及び市の職員である消防隊員が、全面的に上述の救援活動を行わなければならにということになる。

まずこの認識を明らかにし、共有した。

加えて危機管理部長は「他の地域からの応援」と繰り返し発言しているが、私はこれはあてにできないと考えている。津市には笠取山のレーダー基地や白山のPAC3が配備されたミサイル迎撃能力を持った基地がある。攻撃対象として優先度の高い施設を持っている。しかしより優先度の高い攻撃対象は国内に多数あり、津市が攻撃される事態になった時には、おそらく日本各地も同様に攻撃を受けていることと考えるべきだ。

よって、他の地域からの救援はまず望めないということになる。

繰り返し問いただした結果、
市は、NBC攻撃(核、生物、化学攻撃)に対応する能力は現時点で有していない事を確認した。
装備も十分でなく、訓練も行わなければならない、計画も不十分なところは見直さなければないという答弁を得た。


  • 続いて市独自の訓練の必要性に関して見解を求めた。(およそ6分)
県が発表した津市で行うという合同訓練は、具体的な内容も日程もこれから決めるが、実施ていくことになっている。という答弁を得た。

加えて、市独自の訓練実施を行う意向があるかどうかを尋ねた。
県との訓練を実施したのちに、市での訓練を検討したいという答弁だった。




  • 学校における武力攻撃事態への対処マニュアルの有無に関して、教育長に伺った。(およそ6分)
現在対処マニュアルはない、今後対応したいという答弁を得た。

危機感が迫る中、あまり悠長なことは言っていられない状況を考えて、できるだけ早くマニュアル作成をしてほしいと要望し、関係機関と協力し迅速に対応したいという答弁を改めていただいた。






  • 備品の整備に関して改めて危機管理部長に問い、国への要求をするよう求めた。(およそ6分)
国民保護法施行令12条には地方自治体が行う「救援の実施」に必要な物資がリストアップされており、その1項には「医療機器その他衛生用品及び再生医療等製品」と明記されている。

同時に多数の人たちが爆弾の炸裂によって負傷し流血している状況に対応できる救急用具は十分あるのか?と問うた。
包帯など止血のための防災備蓄品はある。との答弁だった。
が、やはり自衛隊や他国の実働隊が持っているような目的に特化した止血用具を整備すべきだと問うたのと合わせて、国が法律に書かれている通りその責務を履行すべきだと付け加え、地方から国へ予算措置も含めて要望すべきだと述べた。

同法3条
地方公共団体(略)が実施する国民の保護のための措置を的確かつ迅速に支援し、並びに国民の保護のための措置に関し国費による適切な措置を講ずること等により、国全体として万全の態勢を整備する責務を有する。

国の責務として根拠にあげたのが、条文末尾の「万全の体制を整備する責務」だ。
国への要求という点に関して、危機管理部長より合意する答弁をいただいた。


  • 続いてテロ対策に関して、津市国民保護計画が市の状況を踏まえた計画書になっていない点を指摘し改善を求めた。(およそ15分)
津市国民保護計画である。繰り返すが、津市の状況を踏まえて、津市に於いて起こりうる武力攻撃を想定し、それに対処する計画でなければならないが、原稿の計画書には津市には存在しない施設が、国の指針にかかれているそのまま転記してある部分が多々ある。

如何にその例を示す。

津市には石油コンビナートやテーマパークは存在しない。
また、旅客ターミナルや核物質の貯蔵所もない。これらへの攻撃は懸念する必要が無い。

一方でダム施設は大きな物が2つ存在する。しかしダム施設の破壊に関して、具体的な対処方法が示されていない。

安濃ダムと君ヶ野ダム2施設あるが、それぞれ県の所管が違う。すなわち連絡や情報共有すべき相手が違うのにもかかわらず、そのことが示されていない。

管理や対応は県の持ち物だから県が行うべきだが、市は「平素からの連絡調整や情報収集」を行う責務がある。

ダム破壊が起こってから対応するのではなく、普段から異常事態に連絡が入ってくる体制を整えてほしいと要望した。特にダム破壊のテロ活動に関して、県においても今まで意識が払われていたとは思えない。ダムが存在する津市側から管理者である県に対し懸念を伝え、テロ被害にあった場合の対応を、風水害の時とは別に準備、計画しておくべきだと思う。

同様に市内各地に存在するプロパンガスに関しても、情報収集できる体制の確保を求めた。
プロパンガスは使い方によっては移動させることが可能な爆発物になる。
テロ行為を行う者にとっては現地調達できる便利な爆弾になりうる物だ。
これもダムと同様に管理は業者の責任で行うべきだが、今まで想定されていないであろうテロ攻撃を念頭に、地元事業者との情報共有体制を確保すべきだと伝えた。

これらのことを踏まえ、現在の「津市国民保護計画」は津市において起こりうる武力攻撃事態を絞り込めておらず、必要な対応策が十分練られているとは思えない節があるので、これらの改善を求めた。

必要な部分は改善していくという答弁を得た。

以下
津市国民保護計画 12,13ページより

(1) 攻撃対象施設等による分類
ア 危険性を内在する物質を有する施設等に対する攻撃が行われる事態
事態例 特徴・留意点等
・石油コンビナート、可燃性 ガス貯蔵施設等の爆破 ・爆発及び火災の発生により住民に被害が発生するとともに、建 物、ライフライン等が被災し、社会経済活動に支障が生ずる。
・危険物積載船への攻撃 ・危険物の拡散による沿岸住民への被害が発生するとともに、港
湾及び航路の閉塞並びに海洋資源の汚染等社会経済活動に支障が
生ずる。
・ダムの破壊 ・ダムが破壊された場合には、下流に及ぼす被害が多大なものと
なる。

イ 多数の人が集合する施設、大量輸送機関等に対する攻撃が行われる事態

事態例 特徴・留意点等
・大規模集客施設等(レジャ ー施設、テーマパーク等)の 爆破
・主要駅等の爆破 ・列車等の爆破
・大規模集客施設、主要駅等で爆破が行われた場合、爆破による
人的被害が発生し、施設が崩壊した場合には人的被害は多大なも
のとなる。


津市国民保護計画 36ページより

6 生活関連等施設の把握等 (1) 生活関連等施設の把握等
市は、市内に所在する生活関連等施設について、県を通じて把握するとともに、県と の連絡体制を整備する。

表 2-9 生活関連等施設の種類及び所管省庁、所管県担当部局

法施行令 各号 施設の種類 所管省庁名 所管県担当部局
第27条 1号 発電所、変電所 経済産業省 防災対策部
2号 ガス工作物 経済産業省 防災対策部
3号 取水施設、貯水施設、浄水施設、
配水池
厚生労働省 環境生活部
4号 鉄道施設、軌道施設 国土交通省 -
5号 電気通信事業用交換設備 総務省 防災対策部
6号 放送用無線設備 総務省 防災対策部
7号 水域施設、係留施設 国土交通省 地域連携部
8号 滑走路等、旅客ターミナル施設、
航空保安施設
国土交通省 -
9号 ダム 国土交通省 県土整備部
第28条 1号 危険物 総務省消防庁 防災対策部
2号 毒劇物(毒物及び劇物取締法) 厚生労働省 健康福祉部
3号 火薬類 経済産業省 防災対策部
4号 高圧ガス 経済産業省 防災対策部
5号 核燃料物質(汚染物質を含む。) 原子力規制委員会 防災対策部
6号 核原料物質 原子力規制委員会 -
7号 放射性同位元素(汚染物質を含 む。) 原子力規制委員会 防災対策部
8号 毒劇薬(医薬品医療機器等法) 厚生労働省 農林水産省 健康福祉部 農林水産部(動 物用医薬品に係 るもの。)
9号 電気工作物内の高圧ガス 経済産業省 防災対策部
10号 生物剤、毒素 各省庁 (主務大臣) 防災対策部
11号 毒性物質 経済産業省 -

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2. 水道法改正とPFI(民間資金など活用事業)(およそ10分)

概要
今回の法改正の要点は2つ

  • 水道事業者の責任
  • 水道施設運営権の設定の許可

が明記された。

水道施設の適切な維持管理とそれを可能にする適切な料金設定を行い、運営計画を作らなければならなくなる。

水道事業は単なる公共サービスではなく、人の命に関わる安全保障上重要な事業だ。その取り扱いには細心の注意が必要だと考えている。

まず、津市はその規模的にPFIを検討することが義務付けられた自治体なのかを確認した。
次にかねてより検討するためのルールである「優先的検討規定」の策定が求められていたが、現時点で策定が済んでいるのか確認した。

最後に、PFIの検討を優先的に行わなければならない自治体であり、検討したのちにはインターネット上に検討結果を公表しなければならない以上、運営を民間に任せられる事業とそうでない事業を明確に分けて、準備を進めていくよう求めた。


水道法の一部を改正する法律案要綱より
第二 改正の要点
四 供給規程に関する事項
供給規程に定められる料金は、能率的な経営の下における適正な原価に照らし、健全な経営を確保することができる公正妥当なものでなければならないものとすること。

五 水道施設の適切な管理に関する事項

1 水道事業者は、厚生労働省令で定める基準に従い、水道施設を良好な状態に保つため、その維持及び修繕を行わなければならないものとすること。
2 水道事業者は、水道施設の台帳を作成し、これを保管しなければならないものとすること。
3 水道事業者は、長期的な観点から、給水区域における一般の水の需要に鑑み、水道施設の計画的な更新に努めるとともに、水道施設の更新に要する費用を含むその事業に係る収支の見通しを作成し、これを公表するよう努めなければならないものとすること。

以上に示した四と五を見ると、適正な料金設定をし、適切に維持修繕を行っていくことを明記し、さらには計画策定し公開することが義務付けられることとなる。

六 水道施設運営権の設定の許可に関する事項

そして六においては、先述の適切な管理が難しい場合はPFI手法を使うことも可能にする。
という改正である。

津市公共施設等総合管理計画の31ぺーじによると
津市の上水事業において
必要になる修繕費を向こう40年間で平均をした場合毎年46億円資金が不足していることがわかっている。

法律案要綱の五に示された「水道施設を良好な状態に保つための維持及び修繕」を行っていくことを考えた時、
法律案要綱の四に示された「健全な経営を確保することができる妥当な料金」になっていないと言わざるを得ない。

解決方法は2つ

  • 水道料金を上げるか別の収益を上げるか。
  • 別の収益を上げる方法がPFIである。


ところで、津市の水道局は「水道事業における PPP/PFI手法導入優先的検討規程 の策定ガイドライン」で規定するところの、PFI手法に関して優先的に検討を行い、その結果を公表しなければならない「給水人口20万人以上の水道事業及び一日最大給水量10万m3/日以上の水道用水供給事業の水道事業者 」に含まれるのか?

との問いに、津市はこの規模を満たしている自治体であるという答弁を受け、PFI手法を優先的に検討し、採択しない場合はその理由も含めて公表を義務付けられている団体であることが確認できた。

ちなみにこの「優先的検討規定」に関しては平成28年の9月にも議会で尋ね、津市は策定を求められている団体であることを確認しています。
当時「28年度中策定に固執しないが、年度内策定を一つの目途として取り組む」という答弁があった。
ところがそれから3ヶ月後に公表された国の資料では28年度末に策定予定の団体として認識されている。
28年度が済んで、29年度に入ったが今まだ策定中とのことだ。
できるだけ早く策定を済ませていただけるよう求めた。


しかしながら、水は住民の命に関わる安全保障上守らなければならない事業なので、安易に運営権を譲渡することは避けなければならない。

水道局側としてはPFIに関する十分な知識と、PFI手法を導入できる施設とそうでない施設を分けて、PFI手法を導入しない場合にはこれを公表しなければならないので、研鑽を積んでいただけるよう求めた。
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3. 教育ネットワーク、ファイルサーバの不具合に関して(およそ5分)
委託業者を指名停止 津市・小中情報システム不具合

本年1月末にファイルサーバがダウンし、学校現場で使っていたデータが消失した件に関して、
2点伺った。


  1. 1月末に事態が発生したにもかかわらず3月末まで公表されなかった理由
  2. 結果的にこの事業は当該受注業者1社のみが応札した。競争性が保たれなかったことが、運営能力のない業者が受注する事態を作り、結果的に不具合が発生した。入札のあり方の改善を求めた


まず適切な報告の重要性に関して。
このサーバは昨年10月から使用が開始された。インターネット接続が可能な市内の小中学校全てのコンピューターがアクセスし、ファイルを保存し、また閲覧できるようにしたシステムだ。

10月の引き渡しの時点で受注業者は全ての機能が適切に昨日していることをテストし、発注者である教育委員会に報告する義務がある。
しかし、ファイルサーバをバックアップしているバックアップサーバは、10月の時点ですでに機能しておらず、1月末にサーバがダウンするまで一度も書き込まれた形跡がないことがわかっている。
まずこの時点で虚偽の報告、適切な報告が行われていない。

次に12月末、接続する全学校から全てのデータが完全に新しく設置されたファイルサーバに移され、フル稼働を始めた。この時に当該受注業者は、初めてバックアップサーバが昨日していない事に気付く。しかしここでも同業者は教育委員会にそのことを報告していない。

仮にここで報告が適切に行われ、問題を解決していれば、1月末にサーバがダウンしたとしても、データの復旧は容易にできたはずである。
しかしその様に対処されなかったため、最悪の事態が起こり、サーバがダウンし、バックアップが取れておらず、ファイルを復旧に多大な労力をかける事になった。

受注業者は少なくとも2度、報告すべき時に報告すべき義務を怠り、事態を悪化させた。

一方で市教委は議会はもちろん保護者を含めた公に、この事態を2ヶ月間報告しなかった。
報告したところで事態が改善されたとは思わないが、信頼は著しく失うこととなる。
この事に関して弁明を求めた。

最後に同事業者は1800を超えるクライアント接続のあるサーバを設計、運営する能力がなかった。能力のない業者が入札の結果受注した事になる。
このことの改善を求めた。

設計能力がなかったと考えられる根拠
1. ファイルサーバにアクセスするにあたり、アクセするものが適切な権限を持っているのかを確認するサーバがある。同事業者が設計したシステムでは、ファイルサーバと権限を管理するサーバの間で、過剰に権限確認の動作が行われ、このことが結果的にサーバをダウンさせる直接的な原因になった。
現在ファイルサーバから権限を管理するサーバへの物理的接続が切られ、適切に運用されている。

2. ファイルサーバに使われているハードディスクは96テラバイトだった。そのうち書き込み可能容量は56テラバイト確保されていた。ところが同事業者が用意したバックアップサーバのハードディスクの容量は72テラバイトしかない。サーバを運営するために必要なファイルが同事業者が考えていたよりも多かったらしく、実質の書き込み可能容量は48テラしか確保できていなかった。そのため、52テラのファイルサーバに対してバックアップサーバが48テラしか容量がないことが原因で、バックアップサーバが機能しなかった。

以上2点から同業者がこのシステムを設計し運用するだけの技術と知識を有していなかったと考えざるを得ない。

ところがプロポーザル方式の公募に対して応札したのは同事業者一社のみ。
どうやら今回ダウンした全校対応型の集中サーバの前に、各学校ごとに使っていたNASと呼ばれる個別のネットワークサーバを、この事業者が受注していたことから同業他社が応札をためらったと思われるフシがある。

仕様書の競争性確保だけでなく、実質的に競争性のある入札状況が生まれ複数業者からの応札がなければ、今回同様の能力を有しない業者が受注してしまう可能性を排除できない。

入札のあり方に関して改善を求めた。

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