不登校の児童・生徒のための体験型学校「高尾山学園」

今回の教育厚生委員会の二日目の目的地、八王子市。
東京の奥にある山梨よりにある人口57万9000、186km2のまち。

ここには公立の70の小学校と37の中学校がある。

そんな中一時期は年間700を超える、今でも500人弱の不登校児がいる。

同市では子供達への登校支援に活用する「個票システム」というのを構築している。
これは各学校が、個別の生徒の出席、欠席状況を入力していくシステムだ。
月に一度10日に先月の出席状況が更新され、3回以上欠席した場合は自動的にリストに上がってくるらしい。

上がってきた生徒に関しては過去にさかのぼって出席状況を調べることができ、これが増加傾向にあるようであれば、状況を確認することになるという。

複数の関係者が意識をすることで、直接接している担任が気がつかなくても、「あの子こんな状況だけど大丈夫?」という声がけができるらしい。

とにかく、早い段階で対処し、学校に出てこれるような支援を適切に行うことを目的にしたシステムだ。

これが一旦学校だけで対応が困難なケースになった場合、同市では複数の選択肢を用意している。
本人や保護者がが在籍校への復帰を望んでいる場合は、籍を残したまま「適応指導教室」に通うことができる。これは市内に3箇所、うちひとつは「高尾山学園」内に併設されている。

在籍校に復帰が難しい場合、転入という形をとって「高尾山学園」に入学することになる。すなわち地元の学校の籍は無くなる。
この学園には100人ちょっとの生徒が在籍している。

不登校になる児童には様々な理由があるが、
八王子で撮った統計の平成16年と平成25年の比較を見ると
いじめや友人との関係、学校不信など、学校生活に起因する理由が
35.9%から24.8%に減っているのに対し、
不安など情緒的混乱、無気力、あそび、非行など本人の問題に起因する理由が
29.9%から66.4%と大きく増えている。

現場の実感として、理由が多様化し、対応も困難になってきたという。
すなわち対応する教員やスクールワーカー、また専門知識を持つ心理相談員や、福祉につながる児童厚生員など複数の人間が不足を補いながら連携して取り組んでいく必要性が出ているという。
そういった専門的対策チームを作り上げることに八王子市は、「高尾山学園」に民間出身の校長を採用することで成果を上げているらしい。
この方はもともとPTA活動に積極的だった方で、地元の大手企業の管理職を経験した方らしい。

また、不登校児の対応には特定のスキルが要求される。その経験を「高尾山学園」に勤めることで積ませ、その後市内の公立校に戻ることで、市域全体の不登校児に対する対応能力をアップさせているらしい。
結果当初700人いた該当児童が今年は500人を割った。

非常に有名な取り組みのようで、都教委はもとより様々な市町から「高尾山学園」の状況を調べに視察に来るらしい。(我々もそのうちのひとつだったわけだが)

都としては同様の学校を2校ほど都内に設置することと、高校版「高尾山学園」の設立を検討しているとのこと。

各学校での対応ではなく、市全体で取り組む。
情報を集約化することで、専門チームを一箇所にまとめることができ、高いレベルでの対応を市域全体に広げることができる。
そんなメリットを感じた。

何よりも担当の職員が非常に自信を持って、市の取り組み成果を報告してくれたことが、強く印象に残っている。



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