2014年5月21日水曜日

福祉政策に先駆的取り組みを行う富士宮市


地域包括支援センターの先駆的な取り組みを行っている都市という事で今回教育厚生委員会として富士宮市に訪れた。

玄関に入るなりいきなりジャブが入る。

入口すぐに障害者施設で作ったと思われるコースター、置物、髪留め、ミソ、野菜、パンといったものがならぶ出店が有り、コーヒーも売っている。毎日時間限定ではあるものの障がい者と思われる二人が店頭販売をしていた。その他の時間は買ったもののふだとお金を金庫に入れる自己申告制で販売をしている。
こういったささいな取り組みは実は結構大事じゃ無いかと思った。

さて、会議室に通されて本題に入る。
担当の地域包括支援センター長、
社協からの引き抜きで上がってきた人だという。現場のことを非常によく知っている。

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地域包括支援センターは2005年の介護保険法の改正を受けて
3万人規模の人口に対して1つ設けるという国の指針に基づいて設置されている。
それぞれのセンターに保健師、主任ケアマネージャー、社会福祉士が置かれる。

人口13万少しの富士宮市としては、そんな施設を10カ所以上運営していく財政規模が無いと判断し、独自のシステムを構築するに至った。

市直営の地域包括支援センターを一つおき、ここで解決が困難な事例の対応をおこなう。
他簡易な案件は地域型支援センター9つをそれぞれの地域に設置する事で解決するという分業体制だ。


支援が必要であり解決が困難なケースは様々な部局が総合的に解決方法を提供しなければならないことが多い。


事例
高齢且つ統合失調症の母親と知的障害を持つ息子二人がいる。
普段は母親息子達それぞれが必要な支援を受けて生活をしているが、一端このバランスが崩れると状況は一変する。

長男が風邪をひいて寝たきりになる。母親は子供の看病が出来る状態にない。寝込んだまま食事もまともに提供されず栄養失調状態に陥る。

たまたま民生委員が最近長男を見かけないことに気づき訪問し、事態を把握する。そのまま病院に搬送できれば良いのだが、統合失調症の母親は子供を奪われると抵抗する。ここで警察が介入し保護入院という運びになる。

弟も生活能力が無く、部屋はゴミだらけでトイレは詰まったまま。生活保護の手続きをし兄と母の帰りを待つ。

このほかDVや虐待のケースなども含めて、高齢、介護、認知症だけでな、身体及び精神障害、生活困窮、虐待、カウンセリング、医療等々様々な分野が混在する状態が、困難なケースであればあるほど多いという。その為に総合的なケアプランが立てられる部署が必要だという観点で、市直営の地域包括センターは重大案件だけをメインに取り扱う。

地域型支援センターは一方で殆どの相談ケースが年金や介護と言った高齢者に関する相談案件でその場で解決できるものが圧倒的に多い。

こういった棲み分けを行う事で、それぞれの地域型センターに専門家を配置する経費を抑えることができた。


部局をまたいだ福祉総合相談課・福祉相談支援係の設置
地域包括支援センターは介護保健法が根拠になっています。
また、児童虐待は児童福祉法
生活保護は生活保護法
それぞれ違う法律が根拠になったシステムで、原資も異なります。

ですから通常市役所ではそれぞれ別の部局が担当課になっています。
管理する側としては便利なわけですが、使う側からすると非常に不便。
特に富士宮市の地域包括支援センターが対応している困難事例においては実例に挙げたように複数の支援が必要。

これまでは受給を求めるものがそれぞれ自分で支援ごとに申請手続きや相談に行かなければならなかった。

それを利用者目線で一カ所で全て対応でき、総合的に支援メニューを作れるようにしたのがこの福祉相談支援係、そしてそこが管轄する地域包括支援センターだ。

これはセンター長も他市では事例が無いと自負をしている。


インセンティブの働くケアプランナー
素晴らしいのはケアプランを作る担当は臨時職員で、1プラン当たり4000円のインセンティブが付くシステムで駆動している。
平均50件程度を担当しておりそれだけで20万。彼らは一生懸命専門的に各事案を調査し、必要なプランをたてる。
センターはそれぞれのプランごとにPDCAサイクルを繰り返し問題が解決に至るまでケアを続ける。
また同様に生活困窮相談の場合でも責任を持ったプランナーと課をまたいだ適切な対応とPDCAサイクルの実施によって。、実際生活保護受給者になった数を17%に押さえたという。全国平均に比べて優良だという。


街ぐるみの地域包括ケアシステム
民生委員だけでなく例えばコンビニの店員が、
近所のおばあさんが朝昼晩3回卵だけかって帰って行った。明らかにおかしい。
認知症の傾向が見受けられると言う事でセンターに相談があり支援が入ったケースもあるそうだ。

他、銀行、郵便局、生協、ショッピングセンター、警察官といった様々な分野の方々が市の啓発で認知症サポーターの研修を受けてもらっているという。

街ぐるみで取り組む地域包括支援システムという構想を軸にして、このセンターが駆動していると言う事だ。


立役者
特に部局を超えての組織編成というのはなかなかボトムアップでは作り得ない。
正直な感想をセンター長は吐露してくれた。そしてそれを可能にしたのは元富士宮市議で福祉を専門分野に仕事をしていた人が市長になったことが大きいという。

どんな事業も効果的な結果をもたらすために、先駆的な取り組みを行おうと思えば、明確なビジョンを持って、熱意のある有能な担当者、適材を、適所に配置する目と、それをやりきる行動力が必要なのだろうと改めて思った。

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おまけ
富士宮庁舎の7階にある食堂は松屋が委託を受けて入っているようだ。メニューにラーメンも入っている。