2012年11月9日金曜日

井村屋:浅田社長インタビュー:第1回

世界に進出している大企業がこの津にある。
そんなグループ企業のトップが、実は車で30分の所におられる。
しかも!私の小中高の先輩。

私個人的にも学べる事がたくさんあるんじゃないか。また市政のこと町のこと、世界を見て回ってきた津市出身のエリートの意見を聞いてみたい。

そんなことから無理をお願いしました。

私の要望を快諾頂いた浅田社長との会談内容をおよそ4から5回ぐらいに分けて掲載していきたいと思います。

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浅田社長は高校時代バスケ部に所属しておられたとのこと。その時高校のバスケの顧問の先生から多くのことを学んだとお話しをされておりました。

以前に津高で講演をされた際に
「チームとは何かでチームに貢献すること。全員がそれぞれ出番がある。優れた選手がいなくても、それぞれが役割を果たすことで強いチームになる。」
と言っておられました。

そこでまずおたずねいたしました。

小林貴虎:多くの従業員が一つの方向に向かって邁進していく、士気ややる気、個々の力を引き出して発揮させるために、リーダーとして気を付けておられることはありますか?


浅田社長:眉毛は顔の中にある存在そのものが役に立っています。役立たない者はチームの中に居りません。企業も行政も同じで、何のためにという目標意識が重要です。井村屋でもMission Vision Passionの3つ、頭文字をとってMVPを定め大事にしています。Missionすなわち、井村屋グループは何のために存在しているのか。誰のためのお役立ちをどのようにやるのかと言う事を共通の理念として持つことがベースに無いといけないと思っています。(会社組織の中の)できる限り多くの人がその事に対して共感、共通認識を持っていると言うことが大切なんです。これはお題目のように書いてあって唱えるだけではダメで、その事に対する意識と理解がないと意味が無いんです。
ドラッカーが好きでドラッカーの話をよく社内でもします。ドラッカーが学生の時に担当教授から「君は世の中でどのように覚えられたいか?」という質問を受まして、その時にクラスのメンバーを含めてドラッカー自身も明確に答えられなかったと言います。その時に「今答えられないのはある意味かまわない。しかし50年後に至っても自分が、何の役に立ちたいのか、何をして多くの方に対して覚えていただきたいかが答えられないと言うことであれば、人生を無駄にしたことになる」とドラッカーの本の冒頭に書いてありました。
企業のMissionというのはそんなことと関わりがあります。何のために企業があるのか。何のお役立ちになっているのか。皆が共通して理解する必要があります。大きいグループ、チームとしてやっていく場合、それぞれに目的、目標が分化していきますが、根っこにある「何をしていくのか」「いかに評価をされるべきなのか」というところは同じでなければならなりません。

弊社は2010年の10月に持ち株会社制に変えました。以前は井村屋製菓株式会社が親会社で、他が子会社であるという組織図でした。持ち株会社制に変えることで、グループ経営に変えたのです。親と子、事業会社と持ち株会社がグループと言う事にして、親があって子会社がぶら下がっているという形ではなく、ぐるっと回してまん中にグループの持ち株会社があって、サテライトのようにその周りを事業会社が取り囲むというスタイルを井村屋のグループ会社のスタイルにしました。
その時に新たな Mission を作りました。それが「おいしい!の笑顔をつくる」。抽象的な言葉なのでこれがどういうことなのかという事をみんなが知っていて、克つ具体的な目標に落とし込む必要があります。副社長の村田が色々研究しながら詰めていったのですが、「お」は接頭語、「いし」は古語で優れたとか突出したとか特別なとかという意味を持っているらしいのです。我々としては多くのステークホルダー、すなわちお客様、従業員、地域社会、と色々な方から「あそこは良い会社だ、美味しいものを作る、素晴らしい貢献もする、人材的にも世の中で評価をされる人達がいる」そのような評価をされるところに、必ず笑顔が生まれると思っています。美味しいというのは単に物が美味しいだけでなく、企業の存在価値として「美味しい」。「いし」即ちスペシャリティーな優れた価値があるという事です。美味しいと言われながら怒っている人は居ませんからね。「なんで美味しいんだ!」なんて。
ですから美味しいと言うからには必ず笑顔がある。笑顔が生まれるような企業体になろうよという事です。商品を通じて、サービスを通じて、管理を通じて。それぞれが事業会社もグループ会社も目的は細分化して修練されているわけですが、全体としてベースにあるのは「おいしい!の笑顔をつくる」。その大きなMissionをどうやったら実現できるか、と言うことで次に来るのが Be always for Customers!というVisionです。Missionを実現する為の考え方の基本をここに集約しました。Customersと言うのは単に売り買いのお客と言うことだけでなく、ステークホルダーのようなイメージの方が近いでしょう。Beから始まっているのは我々の意志としてまとめたつもりです。常にお客様のことを考えて、お客様の立場になって、お客様のプラスになることをしようよ。日本語で書くとこんな風に幾つも書かなければいけないのですが、Be always for Customers! といえばそれらが網羅されます。

貴虎:先ほどMissionを具体的なVisionに落とし込んでいく事が大変と言われましたが、グループ企業の中には製品もお客様も異なる事業がありますよね。各事業会社で違ったやり方を模索していかなければならないと思うんです。継承していく伝えていく実践させるための、リーダーとして気を付けていることや手法はありますか。

社長:まさしくそれが非常に難しいところです。持ち株会社制にしたとき事業会社に分割をしたわけですから、それぞれにトップがうまれ、新たな経営者が産まれます。事業会社に分割されることで、そういう人達が当然若い段階からマネージメントと言う事を学ぶ機会が生まれることになる。そこで切磋琢磨することでより大きなグループ経営のボードに入ってくれるような能力の人が出てくれば結構なことだと思うのです。持ち株会社制にすると事業会社の方向性なり目的意識なりはそこのトップがどう考えてどう実践していくかという事をある意味委託する、任せるという事の覚悟が必要だと思います。だから統一性をどうするのか?という事で、グループが掲げているのがMVPなんです。MはMission、VはVision。そしてPは成し遂げるための情熱、Passionです。情熱の根幹は Innovation にすると決めました。革新を計っていくという事が進化に繋がる。常に革新力を持つということを自分たちの一番ベースの考え方に据えました。このMVPに関してはどの事業会社でも同じです。どう計るかと言う事については、シーズニングの会社はどう「お美味しいの笑顔」をつくるか、どのようにBe always for Customers!という事をやっていくか、具体的な戦略を構築する。常に革新を図っていくための、技術革新、販売戦略革新、といった事業会社の社長の具体的戦略性が出てこなければならないのです。そして任せると言う事は必ず報告連絡相談があるという事です。任せたよと言う事が、任せた方の無責任さになってはいけない。繋がりというところが無ければならないのです。

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次回

貴虎:市役所の中の仕事は往々にして決済がついて回ってきて、部長が責任を持たなければならない、順々に上がっていって最終的には副市長や市長が責任をとるという形をとります。誰が責任をとるのかと言う事に常に縛られるので、革新という所に弱さがあるとおもいます。